日本代表歴代最多98キャップを誇るラグビー界の鉄人、ロック大野均(42=東芝)が18日、所属先を通じ、現役引退を発表した。

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苦楽を共にした日本代表の仲間も、大野の功績をたたえた。07年からW杯3大会で共にロックとして戦ったトンプソン・ルーク氏(39=現近鉄アドバイザー)は「均(キン)ちゃん、あなたはレジェンドです。本当にお疲れさま。ニュージーランドに遊びにきてね!」とねぎらった。1月にあったトンプソン氏の現役最終戦に、大野は秩父宮まで駆けつけてくれた。同氏は「このタイミングでの引退が残念」と惜しんだ。

15年W杯に同じロックで出場した伊藤鐘史氏(39=現京産大監督)は「目の前の練習にも、お酒にも、本当に一生懸命。影響はたくさん受けた」と懐かしんだ。1人で黙々とテーピングを施し、ボール争奪戦で激しく体を当て続けた。事前に電話で引退報告を受け「灰になっても燃えて、燃え尽きたのだと思う。今はコロナで会えないけれど『お疲れ会しましょう』と声をかけました」と明かした。

19年W杯日本大会では、ロック全員が外国出身選手だった。元日本代表プロップ山下裕史(34=神戸製鋼)は「これから何をされるのかは分からないけれど、不器用でも本当に体が強い“第2の大野均”を生んでほしい」。SH田中史朗(35=キヤノン)は「均ちゃんのひたむきな姿勢で、日本ラグビーを引っ張っていってくれて、本当にありがとうございました」と感謝の思いを寄せた。【松本航】

◆大野均(おおの・ひとし)1978年(昭53)5月6日、福島県郡山市生まれ。福島・清陵情報高までは野球部で外野手。日大工学部に入学後、先輩から熱烈勧誘されてラグビーを始める。01年に東芝に加入し、日本選手権3度制覇、TL優勝5回などに貢献。リーグ戦出場数は通算170試合。日本代表は04年5月の韓国戦で初キャップを獲得。07年W杯から3大会連続出場し、日本代表歴代最多の98キャップを誇る。16年にはスーパーラグビー(SR)の日本チーム、サンウルブズでもプレーした。尊敬する人は元東芝主将の釜沢晋氏。趣味は酒を飲むこと。好きな食べ物はケンタッキーフライドチキン。愛称は均(キン)ちゃん。192センチ、105キロ。血液型O。