バスケットボールのBリーグ、アルバルク東京の主将として活躍した元日本代表の正中岳城(35)が11日、オンラインでの引退会見に臨み、「特別な選手ではなかったが、全力でプレーすることに努めてきた」と現役生活を振り返った。

兵庫・明石高から青学大を経て、07年に前身のトヨタ自動車に入団。JBL、NBL、Bリーグを通じてチーム一筋で、今季まで10シーズン主将を務めた。「アルバルク東京の一員として選手を全うし、差し出せるものはもう何もないと思えるくらいにやりきることができた」。先月14日にスタッフやコーチと話し合い、現役引退を決断したという。

通算13シーズンで511試合に出場し、2382得点。長く活躍できた要因に入念な準備を重ねてきたことを挙げ、「後悔がないよう、その日にできることをやり切る思いでいた」。リーダーとして強豪チームを引っ張り、数々のタイトルをもたらした。

B1では数少ない“社員選手”でもあったが、「同じチームの一員としてフロアに立っていた。立場を超えたところでプレーして、リーグの発展やバスケットの盛り上がりに向き合う毎日だった」。アマチュア契約を結んだ理由としては「選べる道があったから」と説明。「トヨタ自動車からトヨタアルバルク東京株式会社に出向して、アマチュア選手としてバスケットボールを業務としてプレーさせてもらった。こういった環境は誰にでも与えられるものではないと思う」と感謝した。

来月1日付でトヨタ自動車に復職し、渉外広報本部に配属される予定。「不安と楽しみの両方があるが、それはバスケをやるうえでも同じ。どんどん学び、自分を高めたいという意欲がある。いまはワクワクしている」。コートを去るキャプテンは、次はビジネスのフィールドを全力で駆け回る。【奥岡幹浩】