フィギュアスケート男子で昨季世界選手権(3月、カナダ・モントリオール)代表の田中刑事(25=倉敷FSC)がプログラム継続を選んだ。21日に大阪府内で行われた全日本シニア合宿に参加。新型コロナウイルスの影響でショートプログラム(SP)、フリーともに昨季の演目を継続することにした。練習では4回転サルコーに着氷していた。

以下は一問一答。

-この合宿で取り組みたいことは

まずメインとしては、プログラムのチェックをしてもらって(今季)滑る曲をしっかりと、ここで「もう1度見直したい」と思って挑んでいます。

-コロナウイルスの影響は

(練習ができなかったのは)だいたい1カ月半ぐらいです。特に緊急事態宣言が出てからで、再開したのも解除された後。少しずつ滑れるようになりました。こんなに長い期間、氷に乗らないことはなかったので。今も正直、シーズンに比べるとジャンプも、思い描くジャンプになっていないので、まだまだ滑れなかった期間の影響は出ています。

-滑れなかった期間は、どんなトレーニングを

外に出ることがなかなか難しいので、本当に部屋でできるトレーニングをいろいろな形でやっていました。後は人が全くいない時間帯に少し走り込みをしたり。人がいない場所で回転練習をしたり…。正解が分からないまま、いろんなことにチャレンジしていました。

-その時期でスケートに対する思いの変化は

「あまり追いつめないように」と思いながら、過ごしていました。あがくことができなかったので、本当にできる最低限のことだけをして。気持ちを奮い立たせるわけではなく、あまり思い詰めすぎないようにしました。

-今季のプログラムは

ショート(SP)、フリーともに変更なしです。SPは「ヒップヒップ・チンチン」。フリーは「シャーロック・ホームズ」で、昨季と変わっていないです。

-新しく取り組んでいるジャンプは

正直、まだ「ジャンプが戻りきっていないな」という部分があって。新しいことに挑戦するのもジャンプは必要ですけれど、まずは今、プログラムも2シーズン目なので、もっと細かい部分をピックアップして、ブラッシュアップできるのかなと思うので、まずはプログラムとスケーティングを、しっかり磨いている段階です。

-北京五輪のプレシーズンになる

今、こういう状況(コロナ禍)で、これからどう変わるかも分からないですけれど、今できることを精いっぱいやりきることしかできないと思います。本当にどういう状況が来ても柔軟にできるように、その分、今、滑れる時間を大切にして、日々を過ごしたいと思います。

-コロナ禍の苦労を乗り越えたからこそ、身につけたものは

本当にこの滑れない時期に一番怖かったのが、ジャンプの感覚と、体力が落ちることの心配でした。そこは少しずつ練習が再開して、滑れない期間に走り込みをしていたおかげで、そんなに体力面では落ちきらなかったです。落ちるところは落ちたけれど、そこは今、戻してきているので。戻った体力と、ジャンプとか技術面をすり合わせて、いち早く元の状態に戻りたいと思います。

-ジャンプの苦労は

滑れなくなる前がちょうど、なかった(中止になった)世界選手権の後だったので、ピークが来ている状態で(自粛に)入ってしまった。いいイメージ(の状態)で練習ができなくなりました。(最後が)いいイメージの状態で復帰して、あの状態に戻すとなると、ピークのイメージしかできていない。そこが難しかったです。今、そのイメージを作って、できる限り自分の中では焦らずに、1つ1つを戻そうと思って練習しています。

-仕上がり具合は

本当はこの時期だと、新しいプログラムを滑り込んで。正直、気持ちが新しいシーズンに向けて動くんですけれど、それができない分、モヤモヤするだろうなと思っていたので。もう潔く、今季は両方プログラムを変えずに。「元々あったプログラムをしっかり滑り込もう」と思ったので、今季「両方変えない作戦」でいこうと思いました。

-両方変えないのは初か

シニアになってからは初だと思います。

-GPシリーズもどうなるか分からない。スケジュールが不透明な中でモチベーションは

正直言うとモチベーションを維持するのが難しいですし、1回、世界選手権でモチベーションを失ったのが結構、苦しかったので。とにかく思い詰めすぎないで、日頃の練習でちょっとずつ積み重ねて。「100%を保つのは無理」と思って、気持ちを高めすぎないように。でも「練習はしっかりする」っていうのを心がけています。

-世界選手権は現地に入っていたと思うが、具体的な状況は

「現地に行った」って言っても、本当に2泊4日くらいで(笑い)。自分でもビックリするくらい弾丸でカナダに行って、すぐに帰ってきて。それも試合の2週間前とかだったので、そんなに早く(現地に)入ることもなく、そんなに早く出ることもない経験で…。中止が決まった瞬間に一緒に世界選手権に出るチームジャパンのメンバーと連絡を取り合って、みんな残念な気持ち。1人で苦しむよりも、みんなで共有して、「残念だったな」と共有できたことで、少しだけ落ち込みすぎなかったっていうのはあるけれど、それでも日本に帰国した後はちょっと(精神的に)きましたね。

-誰と連絡をとった

アイスダンスの(小松原)美里ちゃんたちと、ペアの木原龍一と、ゆづ(羽生)も、(宇野)昌磨も、女子のメンバーも、みんなと連絡を取り合っていましたね。