ポスト新型コロナに向けて、トライアスロンが動きだした。国際トライアスロン連合(ITU)は5日、他のオリンピック(五輪)競技に先駆けてドイツ・ハンブルクで世界選手権を開催。感染収束が見えない中、対策を徹底して行われた。日本から出場した女子の上田藍(36)は27位、男子のニナー・ケンジ(27)は20位だった。

沿道の大声援を受けて走る光景はなかった。壁に囲まれた周回コース、見つめるのは競技役員や関係者だけだった。ゴール後も「コロナ対策」。女子優勝のジョージア・テイラーブラウン(26=英国)も男子のビンセント・ルイス(31=フランス)もグータッチや抱き合うマネの「ディスタンス・ハグ」で歓喜した。

渡航制限が続く中での世界選手権。「時期尚早」の声もあったが、ITUはあえて開催に踏み切った。日本からも渡航は制限されているが、日本トライアスロン連合(JTU)が関係各所と協議してギリギリで入国が許可された。「出られたことがうれしい。支えてくれた多くの人に感謝したい」と上田は話した。

東京五輪で新型コロナがどうなっているかは見えない。だからこそ、この大会は「五輪テスト」としても注目される。自粛中、ITU理事として深夜までリモート会議に出席していた上田も「この状況での大会を経験することも大切。それを、みんなに伝えたい」と説明した。13日にはニナーとともにチェコで行われるW杯に出場予定。帰国時には2週間の隔離生活が必要になるため、今後も欧州に残って鉄人修行を続ける。