青木祐奈(18=日大1年)がカムバックした。昨年8月の左足首骨折から、新型コロナウイルス禍を乗り越えての復帰戦。総合8位で東日本選手権(11月6~8日、山梨・小瀬)の出場権を獲得した。

前日のショートプログラム(SP)は48・73点の8位で、この日のフリーは88・88位の8位だった。復帰を祝うかのような末広がりのゾロ目。合計137・61点で再スタートを切った。

5歳でスケートを始めてから、期待されてきた。14年に全日本ノービス選手権Aで優勝。国際大会もプランタン杯やアジア杯、チャレンジ杯と各ノービス部門を次々と制した。15年のジュニアグランプリ(GP)リガ大会(ラトビア)では3回転ルッツ-3回転ループも決めた。安藤美姫さんら過去に3人しか決めていない高難度の連続ジャンプだった。

昨年2月にはシニアのババリアン・オープン(ドイツ)に出場。SPで得意の3回転ルッツ-3回転ループを成功させるなど68・43点をたたき出し、18年平昌オリンピック(五輪)代表の宮原知子を抑えて首位に立った。フリーでは、優勝した宮原に貫禄を示されて逆転2位だったものの、シニアでも戦っていける可能性を示していた。

ところが…。スケート人生が暗転したのは昨夏のことだった。8月24日にインスタグラムを更新。「昨日の朝の練習で、左足首を骨折してしまいました。手術をして骨のズレを治しリハビリをして回復させる方法だがベストだそうです。今は手術のために入院しています」。翌月のジュニアGPチェリャビンスク大会(ロシア)を欠場しただけでなく、シーズンの全休を報告した。

「復帰時期はまだ分からないですが、気持ちを切り替え一日でも早く治して、試合で素晴らしい演技をお見せ出来るよう努めていきたいと思います」

その後、横浜清風高を卒業し、日大に進学。骨折から1年となる今年8月に再びインスタへメッセージを寄せていた。

「たくさんの人に支えられて今の自分があることを忘れずに、これから頑張っていきたいと思います」

「新型コロナウイルスの影響で、復帰戦を皆さんの前で披露することは難しく残念ではありますが、試合が少ない分、一試合一試合を大事に楽しんで滑りたいと思います」

その復帰戦が東京選手権だった。コーチは6歳のころから都築章一郎氏で変わらない。一方でSP、フリーともにプログラムを一新した。SPは「Live for the One I Love」(振付師ステファン・ランビエル氏)に、フリーは「Beethovens 5 Secrets」(同ミーシャ・ジー氏)に生まれ変わって氷上に帰ってきた。

迎えた前日のSP。冒頭で、代名詞の3回転ルッツ-3回転ループを予定していた。結果は、1本目のルッツが踏み切り違反となってバランスを崩し、2本目のループを跳べなかった。フリーも同じ構成。今度は跳べた…が、2本目は2回転ループになった。まだ以前の自分には戻れない。フリーではジャンプ全般に苦しんだ。

それでも、またリンクに立てた。次は東日本選手権だ。その先にある3度目の全日本選手権(12月23~27日、長野)出場も見据えている。今回、取材対応はなかったが、1歩目は踏み出せた。いつか本来の演技を取り戻し、つらかった1年間を笑顔で語る日が来る。【木下淳】