南北海道は札幌山の手が3年連続19度目の優勝を果たした。

9年連続決勝対決となった函館ラサールを47-3で下し、花園全国一番乗り。新型コロナウイルスの影響でニュージーランド留学生1人が退学。練習時間も短縮されたが、例年以上に会話を重ねて結束力を増し、王座を死守した。

北北海道は旭川龍谷が遠軽を31-28で退け、初の3連覇で5度目の優勝を達成。開催予定の全国大会(12月27日開幕、大阪・花園ラグビー場)には南北優勝校と19日に行われる第3代表決定戦の勝者が出場する。

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歓喜の雄たけびも、ヘッドキャップが舞うことも、ガッツポーズもなかった。札幌山の手フィフティーンは3連覇を告げるノーサイドの笛が吹かれると、静かに整列に向かった。SO木津谷主将は「自分たちがやってきたことをやれば勝てると信じていた。勝っておごらず。王者らしく」。3年連続19度目の優勝。一番乗りを決めた花園で喜びは爆発させる。

9年連続同一カードの宿敵相手を序盤で突き放した。前半4分に敵陣右ゴール前のラインアウトから押し込み、プロップ広部が先制トライを挙げると、同13、19分にもラックからサイドをつきフッカー山本陽が連続トライ。平均体重で相手を8・25キロ上回る92・9キロの強力FW陣で圧倒。前半終了間際にも4トライ目。「セーフティーリード」(佐藤幹夫監督)を作り上げ、主導権を握った。

コロナ禍で“3密”が生まれやすい競技特性もあり、6月のチーム練習再開後も全体練習が1時間減の約2時間。木津谷は「練習するときは集中してやる。ミスする度にトークをしてフィードバックに取り組んだ」。短時間でもコミュニケーションを取り、連係を深めてきた。

例年チームの核となるニュージーランド留学生のFBバハフォラウは大会直前の合流で調子が上がらず、1年生から花園出場の主力SOは退学。志半ばでチームを去った仲間の存在も結束を生み「バハフォラウはプラスα。留学生だけじゃなく自分たちが力をつける」(木津谷)。後半2トライを重ね、計4トライの山本陽は「何としても花園に帰りたかった」。大阪から越境入学したが、昨年全国の舞台に立てなかった2年生が戦力に加わった。

全国の目標は前回大会を含め11度挑戦も全敗している2回戦の突破だ。木津谷は「シード校を倒して、正月を迎えたい」。喜ぶ場所は、正月の花園と決めている。【浅水友輝】