前世界記録2分6秒67を持つ渡辺一平(23=トヨタ自動車)が、東京五輪での日本勢ワンツーフィニッシュを目標に掲げた。伸び盛りの19歳佐藤翔馬との一騎打ちを制して、好タイムの2分7秒08で連覇した。年下のライバルとともに「五輪でワンツーをしたい。もちろん僕が優勝したい」。今後は2カ月ごとにタイムを約1秒上げて、来年4月の五輪代表選考会で、2分5秒台の世界新を狙う。

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じりじりと差をつめた。19歳佐藤にぴたりとつける。150メートルで逆転も差はわずか0秒05。「150メートルから175メートルでテンポを上げすぎない」。はやる気持ちを抑えてプランを冷静に実行して0秒61差で連覇。伸び盛りの新星に、トップの実力を見せて連覇達成だ。

「体はきつかったが、世界一を目指す人間として、どんな状況でも負けない。佐藤君はもっともっと伸びてくる選手。でも自分の伸びしろはたくさんある。切磋琢磨(せっさたくま)できればいい。五輪でワンツーフィニッシュを目標に頑張りたいし、もちろん僕が優勝したいと思います」。

試合前に特別な調整はなし。出力を上げるために、従来よりも1・5倍にした筋力強化も行う。そんな中で結果を出し「去年12月にこのタイムは出てない。強くなっている」と五輪延期を実力アップにつなげた。

見据える先は、宿敵チュプコフ(ロシア)の世界記録2分6秒12だ。奥野コーチは「2分7秒台と思ったが、2分7秒0台とは。想像以上にいい」と手応え。その上で来年2月のジャパンオープンで2分6秒台、同4月の代表選考会で世界新の2分5秒台に照準。「気の抜けない相手が国内にいることはいい」とした。

渡辺は、16年リオ五輪の準決勝で五輪記録2分7秒22をマークも決勝は6位。17年以降は日本のワンツーフィニッシュを口癖にする。五輪会場の東京アクアティクスセンターでの優勝に「早くこのプールでたくさんのお客さんに見てもらいたい」。日本のお家芸の復権へ、渡辺が先頭を泳ぐ。【益田一弘】