国際オリンピック委員会(IOC)は7日の理事会で24年パリの実施種目と出場枠を決定し、1対1で踊って採点で勝敗を決める「ブレイクダンス」が初採用された。これを受け日本ダンススポーツ連盟(JDSF)のブレイクダンス部の石川勝之部長が取材に応じ「驚いたと同時に身の引き締まる思いです。メダル獲得のため態勢を強化しなくては」と喜びを語った。

ブレイクダンスは、1970年代の米ニューヨーク発祥とされるヒップホップ文化。高価な道具や大掛かりな設備がいらない低コストな面や、若者人気の高さが特徴にある。2018年のユース五輪(ブエノスアイレス)で初めて実施され、石川部長が初代監督として日本選手団を率いて、金メダル2個、銅メダル1個獲得するなど成果を出した。この大会で石川部長は、新競技が広く受け入れられる確かな手応えをつかんだという。

選手同士が表現や技のパフォーマンスを評価し合う土壌。互いをリスペクトする空間。「練習をしていると海外選手も自然に集まってきて『その動きどうやってやるの?』と教え合うこともよくあるんです。勝ち負けも大事なんですけど、そこで育まれる交流というのに1番重きを置いてきたカルチャーです」と胸を張った。

4年後のパリへ向けて国内での普及が急がれる中、課題は競技の見方をどう分かりやすく伝えるかだ。石川部長は「なぜ勝ったのかについては、一目見ても分かりにくい部分があると思いますが、そこをしっかり説明していく必要があります」。競技の歴史をひもときながらストーリー仕立てで伝えていくことが重要とも指摘し「世界中のブレイクダンスに関わる人たちと手を取り合って進めたい」と力を込めた。

【平山連】

◆ブレイクダンス 起源は1970年代のNY・サウス

ブロンクス地区。抗争が絶えなかったストリートギャングたちが停戦調停と前後して、クラブパーティーのような空間で音楽を掛けて踊ったのが始まりとされる。踊り手はその頭文字を取って「ビーボーイ」や「ビーガール」と呼ばれ、DJ、MC、グラフィティと並ぶヒップホップ文化の4大要素として広がり続けている。

◆日本ダンススポーツ連盟(JDSF) 国際競技団体(IF)である世界ダンススポーツ連盟(WDSF)の国内競技団体(NF)。77年の前身団体設立以降、02年には文科省から社団法人として認可された。さらに11年には内閣府から公益社団法人として認定された。事務局は東京・有明。