ラグビーの名門・明大フランカー繁松哲大(4年=札幌山の手)が本家仕込みのジャッカルを武器にトップリーグで暴れる。今春のNTTドコモ入りが内定。大学2年の終わりに元オーストラリア代表ジョージ・スミス(40)からジャッカルを教わり、3年から定位置を確保。最後の全国大学選手権は準決勝で散ったが、雪辱を胸にトップリーグ、その先の日本代表での活躍につなげる。

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明大の7番を背負ったプライドを繁松は次のステージにつなげる。「優勝が絶対目標」と臨んだ全国大学選手権は、2日の準決勝天理大戦に15-41で完敗した。4大会連続の決勝進出を目前で逃し、届かなかった大学王座。敗れた経験を、成長への原動力にする。

4月にはNTTドコモに進む。「高校時代から目指していた場所」であるトップリーグに舞台は移る。「外国人が多いトップリーグで力負けしないように体作りをしたい」。178センチ、95キロとFWとしては小柄な肉体でも当たり負けしない体に鍛え上げていく。

雑草魂ではい上がった。札幌手稲東中まではサッカー少年だったが、札幌山の手高でラグビーに転向。全国舞台に立ちたいと楕円(だえん)を追ったが、花園出場は3年生の1度のみ。明大でも同期の多くは高校日本代表候補などすでに実績ある選手ばかりだった。それでも「タックルだけは通用できる」と腐らずに練習を重ねてきた。

2年で公式戦にも名を連ねるようになったが、定位置はつかめず。転機になったのは、元オーストラリア代表で111キャップを誇る名フランカー、スミスが指導する練習会だった。タックルで倒した相手のボールを奪い取る「ジャッカル」の生みの親から直接指導を受け「本当に価値観が変わった」。何より学んだのは技術よりも相手に立ち向かう「心の持ちよう、考え方」だった。

憧れであり「マッチアップしてみたい」相手は高校の先輩で19年ラグビーW杯日本代表のリーチ・マイケル主将(32=東芝)。日本代表への憧れも抱くが「自分で選ぶことじゃない。自分がそのときできるベストパフォーマンスを出し続けるだけ」。だからこそ、力を込めて言い切る。

繁松 体は小さけど、ハードワークしてジャッカルを取れるようになってチームに貢献したい。

紫紺の雄姿を宿し、前へ、進む。【浅水友輝】

◆ジャッカル タックルされた攻撃側選手から、守備側の選手がボールを奪い取るプレー。倒れた選手はボールを離さなければならず、守備側が両腕で絡んで、離せなくさせることで反則を誘う。元オーストラリア代表でサントリーにも所属したジョージ・スミスが相手ボールを奪う名手で、死肉を食べる犬科のどう猛な動物にちなんで「ジャッカル」という愛称で呼ばれていたことから名称が定着。19年W杯日本大会では、日本代表の姫野和樹の得意技として知られた。

◆繁松哲大(しげまつ・てった)1999年(平11)1月6日、福島・郡山市生まれ。小1から札幌手稲東中3まではサッカーに打ち込み、ポジションはFW。札幌山の手高では3年時に花園出場。明大では3年からフランカーの定位置を獲得。趣味はコロナ禍で始めたギターで尾崎豊の「僕が僕であるために」やスピッツの楽曲を弾き語る。178センチ、95キロ。家族は両親と弟、妹。