ショートプログラム(SP)2位の紀平梨花(18=トヨタ自動車)が総合7位と順位を落とした。フリー9位の126・62点にとどまり、合計205・70点。4回転サルコーを回避したが、トリプルアクセル(3回転半)で転倒し「申し訳ない演技になってしまった」と悔しさをにじませた。

これまで紀平は演技の良しあしにかかわらず、冷静に、客観的に、演技直後に自己分析してきた。それが強みといえる。今回のフリー後も、オンライン取材で丁寧に演技を振り返った。

◆4回転サルコーの回避

この日の公式練習は本番リンクではなく、練習用リンクだった。3回転半2本への切り替えは、冷静な判断によって行われた。

「サルコーなしにしようと決めたのは、公式練習の後でした。よっぽど調子が良かったら入れるつもりだったけれど、練習リンクから切り替わって(本番リンクの練習が直前の)6分間しかなかった。『間に合わないだろうな』っていうのは思いました」

◆時間調整の失敗

フリーは現地時間午後9時38分からの演技。一方、SPは24日の午後3時台だった。

「演技前から、足がガクガクしていた。朝から起きてしまっていて、体が寝ている状態でした。そういった部分で、調整がすごく大事と思いました。夜型にしておくべきだったというのが、反省点です」

◆世界のライバルとの差

フリーはSP12位だったトルソワが、4回転4種5本の構成で総合3位まで順位を上げた。一方でSP首位のシェルバコワ(ともにロシア連盟)は冒頭の4回転フリップで転倒。以降は3回転までのジャンプで完成度の高い演技を見せた。紀平は目標の22年北京五輪金メダルへ、その距離を測る貴重な機会となった。

「毎日(練習で)ノーミスして、SP、フリーと2回ずつ(曲を)かけるぐらいの完成形に持っていかないといけない。構成も今よりもっと難しい構成で練習して、本番になって少し下げても自己ベストが更新できるぐらいにしたい。北京五輪までの長い目で見て、4回転も2本入れる練習をしていきたい。(心身のピークの)時間帯を合わせるのが大事と学んだけれど、それ以外にも、受け止めないといけないと思います」

紀平は取材の最後に「理由はたくさんあるけれど、克服できることでした。ギリギリのラインで練習していて、試合に合わせると、こういうことが起きてしまう」と自らに言い聞かせるように話した。これまでもスケートにストイックに取り組んできたが、18歳はさらなる成長を誓った。

「成績を見て『もっともっと。足りないよ』って言われていると思って、何もかも追い込まないといけないと思いました」

北京五輪までは約10ケ月半。この悔しさを、必ずや糧にする。【松本航】