テニスで世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)が日本時間1日未明、自身のSNSで全仏オープン2回戦の棄権を電撃表明した。さらに「2018年の全米オープン以降、長い間うつに悩まされてきた」と告白した。5月27日に試合後の記者会見の拒否を宣言し、同30日の1回戦勝利後の会見を拒否。1万5000ドル(約165万円)の罰金を科されていた。当分は休養する予定だが、7月24日開幕の東京オリンピック(五輪)テニス競技での復帰を目指す方向だ。

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誰もが悲しむ、残念な結末だった。大坂はSNSで「誰もがテニスに集中するためには、私が去ることが1番」と棄権を表明。31日に予定されていた練習を行わず、世界最大の赤土のひのき舞台を去った。

長文の投稿で「2018年の全米オープン以降、長い間うつに悩まされてきたことが真実です。対処に本当に苦労してきました」と告白した。「私がいつもヘッドホンをしているのは、社会不安を鈍らせるのに役に立つから」と音を遮断して、うつに対応しようとしていたという。

記者会見拒否を宣言した真相も明かした。「私は元々人前で話すのが得意ではなく、世界のメディアに向けて話す前は大きな不安に襲われます。緊張し、常に最善な答えを出そうとすることがストレスになります。パリでは既に弱気になり不安を感じていて、自分を守るために記者会見をやめたほうがいいと考えました」。

30日の1回戦に勝った後、宣言通り会見を拒否した。罰金とともに、4大大会の主催者は「規則では違反を続ければ大会からの追放、4大大会の出場停止もあり得る」と警告。同日、大坂はSNSで「怒りは無理解から来る。変化することは人を不愉快にする」と投稿。インスタグラムのストーリーには「さよなら。せいせいする」を意味する楽曲タイトルを掲載していた。

1日のSNSでは、大騒動になった戸惑いもみせた。「数日前に投稿した時には意図したり想像したりしていない状況です」。また「大会や記者に恨みはない」とも記載した。そして「少しの間コートを離れますが、時期が来たらツアーと協力して選手、報道機関、ファンにとって事態を改善するための方法を話し合いたい」とした。

健康状態を取り戻すことが先決で、それには時間がかかるかもしれない。復帰は苦手な芝のウィンブルドンは欠場し、ハードコートに焦点を合わせる方向。東京五輪の会場は得意なハードコート。地元の日本ならばストレスも少ない。以前から「東京五輪で金メダルを取るのが夢」と話しており、関係者は「五輪は出る。復帰戦には十分」と話した。笑顔を見せ、豪快なショットでプレーする大坂をファンは心待ちにしている。