アーティスティックスイミング(AS)で画期的なルール改正が予定されていることが14日、わかった。審判が演技をトータルで採点する現行方式は、わかりにくい、序列がある、などの意見があり、国際水連は「10点満点」の採点法を廃止。フィギュアスケートを参考に演技予定表を事前に提出。技ごとの難易度を決めて、個別に採点する要素が加わる予定。早ければ、22年夏に新ルールが採用され、同秋からスタートする。

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ASが、大きく変わる。国際水連が来夏に向けて大規模なルール改正に着手していることがわかった。関係者は「観客にわかりやすく。現行方式で『なぜ、その得点なのか』を説明しきれていない」。早ければ、22年5月の世界選手権福岡大会で議論され、決定すれば、同年秋から動きだす。

現在のルールは、ジャッジが完遂度、難易度、芸術性など3つの要素を10点満点で採点し、合計100点満点で順位をつける。しかし水中で演技を行う競技特性から、ミスが目立ちにくく、順位の変動が少なかった。東京五輪でデュエット、チームともに4位だった日本の井村HCは「序列が決まっている」と不満を述べていた。見ている人に採点がわかりにくいことは、競技普及の妨げになるだけに、改正に動いていた。

新ルールでは「10点満点」を廃止する。フィギュアスケートなどを参考に、これまでなかった演技予定表を事前に提出。技ごとに難易度を設定し、その技の出来栄え(完遂度)を加味して1つ1つの要素に得点をつける。一方でASの自由な表現を残すためにアーティスティックインプレッション(芸術性)は従来通り審判の主観で採点する。

技術点と演技構成点(旧芸術点)の合計で争うフィギュアスケートのように、技術(難易度+完遂度)と芸術性の合計という「2階建て」で採点する方向。最後に複数審判が3段階で評価する同調性のズレを減点して得点を出す。どんな強豪国でもミスをすれば、技術面は確実に減点される。

国際水連は、技ごとの難易度を自動計算する専用アプリを開発中。当初は25年世界選手権で採用予定だったが、前倒しとなった。22年夏に採用されれば、24年パリ五輪は新ルールになる。1984年ロサンゼルス五輪で正式種目になって38年目で、転換期を迎える。

◆採点方法 5人ずつの審判員で構成される3つのパネル(審判団)が、0・1点刻みの10点満点で採点する。各パネルの最高点と最低点は除外して、残り3人の得点を平均して、各要素に設定された割合を乗じて得点を出す。割合は、テクニカルルーティンで完遂度30%、印象度30%、規定要素40%、フリールーティンで完遂度30%、芸術性40%、難易度30%に設定されている。100点満点。

◆フィギュアスケートの採点 04-05年シーズンから6点満点が廃止され、現在の上限のない加点方式を導入。各種ジャンプやスピンなどの要素ごとに難度に応じた基礎点を決めておき、それぞれの出来によって点数を加減。演技全体についても5項目に分けて得点化(演技構成点)して、その合計で順位を決める。