女子テニスの世界ランキング2位の大坂なおみ(23=日清食品)が、自身が抱えたメンタルヘルスの問題について言及した。ウエスタン・アンド・サザン・オープンが18日、米シンシナティで行われ、女子シングルス2回戦で、大坂は第2シードの世界ランキング24位のコリ・ガウフ(米国)に4-6、6-3、6-4で逆転勝ち。その試合後、メディア対応を拒否した理由を「ひどい見出しが怖かった」と明かした。

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大坂はガウフを破った試合後、注目された記者会見に落ち着いた様子で臨んだ。2日前には「メディアを拒む一方で、メディアに出ることで多大な報酬を得ているのでは」と問われ、涙ぐんで一時退席していた。しかしこの日は一転し、穏やかな表情で自らの胸の内を明かした。

「自分に影響したものは何なんだろう? メディアに出たくない理由は何だったのか。敗者のように扱われる(記事の)ひどい見出しを見るのが怖かった」

続けて「それで私は、毎朝起きるたびに『私は勝者なんだ』と感じるべきだと自らに言い聞かせた。多くのファンが私のプレーを見に来てくれるというのは、自分にとっては成功なんだ。ただ、そう思えなくなった自分がいて、(成功している)事実に感謝できなくなっていた」。メディアの目を怖れるあまり、自己否定に陥っていたようだ。

近年抱えてきたメンタルヘルスの問題。その背景には、昨年から続くコロナ禍で生活に制限がかかり、大きなストレスを感じていたのも一因だという。その一方で、最近起きた父の故郷ハイチで起きた大地震、タリバン政権の復活により大混乱しているアフガニスタンの現状を引き合いに、自分の立ち位置を見つめ直しているようだ。

「世界を見れば、とても普通じゃない出来事が起きている。私は今、米国にいてテニスボールを打っている。ファンは私のプレーを見てくれている。世界中の誰よりも、自分は自分らしくいようと思った」

吹っ切れた様子でそう語った大坂。気丈な発言は、今後の躍進を誓うものだった。