五輪2大会連続出場を目指す坂本花織(21=シスメックス)が“ダブルの痛み”を乗り越えて首位発進した。演技途中で右の腹部と左ふくらはぎをつったが、72・02点をマークした。

アクシデントは、自らの予感のさらに上をいった。

「公式練習から『おなかがつる』と思っていて、そしたら見事につって、脚もおまけについてきました」

冒頭で大きな加点を稼ぐダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を成功。続く3回転ルッツを着氷させたが、その後のスピンで予感が当たった。

「1個目のスピンでおなかと足をつって『この後3-3(連続3回転)やけど大丈夫かな』と思って、超絶やけくそで『おりゃあ!』って感じで跳びました」

フリップ-トーループの連続3回転は、後半のトーループがわずかな回転不足の判定を受けながらも着氷。その後のスピンはレベル2(最高が4)と精彩を欠いたが、まとめ上げた。

「とりあえずこけなかったので、良かったです。(つった後の)ステップは『今までの練習がどこいったんやろう』っていうぐらい、ふらふらで、たぶん(フランス人振付師の)ブノワ(・リショー)先生から『なんや、あのステップは』って言われるステップだったと思います」

それでも堂々の首位発進。10日にはフリーを控え、次週は22年北京五輪テスト大会のアジアン・オープン(14~16日、北京)に出場する。全日本選手権(12月、さいたまスーパーアリーナ)のシード選手で、今大会は回避する選択もあったが、坂本は連戦を選んだ。

「(8月のげんさん)サマーカップで(SPの途中にトラブルで曲が)2回止まってしまった。『このまま(国際大会に)行くのもな…』と思った。過去のシーズンもそんな感じ(連戦)でやってきたので、そっちの方が慣れています」

強くて明るい21歳が五輪代表3枠入りへ、完成度を高めていく。【松本航】