フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯は12日、東京・代々木第1体育館で開幕する。11日は本番会場で公式練習が行われ、アイスダンスで2季目を迎える村元哉中(かな、28)、高橋大輔(35)組(関大KFSC)が国際大会への本格参戦に気持ちを高ぶらせた。今大会には夫婦で取り組み全日本選手権3連覇中の小松原美里(29)、尊(30)組(倉敷FSC)も出場。22年北京五輪代表1枠をめぐる前哨戦が幕を開ける。

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無人の客席に目をやり、村元と高橋が充実した表情で頭を下げた。午前11時半から40分間の公式練習。2季連続のフリーダンス(FD)「ラ・バヤデール」で質が高まったリフトを披露し、氷の表面を優しくなでるようにステップを踏んだ。「全てを強化してきました。焦らず、動じず。自信を持って滑れるように、練習してきました」。昨季からの成長をそう明かした村元の隣で、高橋が笑った。

「初めて海外勢と公式練習や試合をやる。最初は緊張したけれど、練習してきたことを十分に出して、この試合、この経験を楽しんでできたらと思います」

高橋にとって11回目のNHK杯。男子シングル最多5度の優勝を誇る舞台だ。それでも2人は初々しい。昨季も出場したが、新型コロナウイルスの影響で出場は日本勢3組のみ。国際スケート連盟(ISU)公認のスコアとならず、今大会で初めて公認となる。拠点の米国で出場した今季初戦のローカル大会で合計214・44点を記録し、昨年12月の全日本選手権から得点を62・58点伸ばした。村元は「そんなに国際試合は甘くない」とし「そこまで高い点数は出ないと分かっているけれど、少しでも近づきたい」と胸を躍らせた。

目標は1枚の北京五輪切符獲得。実績十分の小松原組とは今大会、ワルシャワ杯(18~21日、ポーランド)、大一番の全日本選手権(12月、埼玉)で競演する。高橋は「僕たちは100%の演技を毎回しないと結果は出てこない。自分たちの演技をどれだけ出せるかだと思う」と誓い、勝負の2日間に臨む。【松本航】