先月の第1戦スケートアメリカで、日本人同士のペアでは初の銀メダルを獲得した三浦璃来(19)木原龍一(29)組(木下グループ)がSPの自己ベストをまた更新した。3位でフリーに進んだ。

スケートアメリカでマークした72・63点を上回る73・98点を記録。「ハレルヤ」を日本のファンの前で舞い、ツイストリフトから2人での3回転トーループ、スロー3回転ルッツなどを次々と決めた。3回転トーループこそ4分の1回転不足の判定をされたが、スピンなどでスコアを押し上げた。

演技を終え、顔を上げると万雷の拍手を浴びる。スタンディングオベーションの中で笑顔を見せ、木原が三浦の頭をポンポンとなでて健闘をたたえ合った。

試合後、三浦は「すごく恐る恐るプログラムを演じていたので、もうちょっと落ち着いて滑りたかった」と第一声。木原も「前回大会で取れなかったもの(最高レベル4評価)を取ろうとしたんですけど、取りこぼしがあった。もったいない。自己ベストが出るとは思っていなかった」と反省の方が先に出た。

「恐る恐る」の理由については「久しぶりの自国での演技でパーフェクトにしたいという思いと、前回の得点を上回らないといけないという思い、両方があった」と三浦。「大きなミスはなかったけど、パーフェクトではなかった」と続けた。

一方、新型コロナ禍の中で演技を披露できていなかったファンに、ようやく進化を見せた。木原が「昨年は日本の皆さんの前で披露できなかった。皆さんの前で成長した姿を見せられてうれしい」と言えば、三浦も「自国開催。いつも以上に心強かったです!」と感謝した。

翌13日のフリーでは合計208・20点の更新を狙う。前日の公式練習後は「1点でも多く209点台を目指したい」と木原は話していたが、既にSPの時点で1・35点上回った。それでも2人にブレはない。合計点の目標を上方修正するか聞かれても、木原は「いえ、コツコツと。同じ209点台でいきます!」。三浦も「明日は失敗は気にせずノビノビと頑張りたい」と気合を入れ直した。2大会連続の表彰台へ。初優勝も諦めていない。そしてGPファイナル(12月、大阪)進出も射程圏内の3位発進となった。【木下淳】