18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が、今季世界2位の102・58点で首位発進した。冒頭で大技の4回転フリップに成功。続く4回転-3回転の連続トーループは後半が2回転となりながらも着氷させ、最後のトリプルアクセル(3回転半)成功につなげた。だが、宇野は正直な感想を口にした。

「率直な感想としては出来のいい悪いではなく、どんな理由であれ(4回転-3回転の)セカンドのトリプルジャンプをダブルにしてしまった。『悔しい』というか『良くないな』と思う。今シーズンまだまだ長いです。今、まとめにいく時期じゃないと分かっていながらも、1つ目のジャンプの空中の少しのブレから、挑む気持ちが少し足りなかったのかなと思います」

得点とは別の悔しさがそこにあった。演技後は首をかしげ、ガッツポーズもなかった。「成長したい」-。その思いが根底にある。

「正直な感想としては『1つ目のジャンプが乱れた。だから2回転トーループにした』と思いたい自分がいます。でも、結果として、あの4回転トーループの着氷は『(2回転ではなく)3回転トーループを跳べたな』と映像を見て思いました。いい順位を取りたい気持ちもあります。でも、今シーズンは『成長できる、世界のトップで戦えるシーズンにしたい』と本当に思っています。失敗してもいいとは言いませんが、失敗を恐れずに、もっと挑戦するべきだったと思っています」

フリーは13日に行われる。3季ぶりのGPファイナル(12月、大阪)進出が懸かるが、気持ちは固まっている。

「『フリーでいい演技をしたい』とは思っていますが、(仮に)失敗していても、成長できるような、フリープログラムを最後まで滑りきります」

「滑りきりたい」ではなく「滑りきります」と断言した。首位、100点超えという結果に満足せず、自らへの課題に向き合う。【松本航】