ショートプログラム(SP)5位の山本草太(21=中京大)が、ともにシーズンベストのフリー152・85点と合計238・90点をマークした。

冒頭の4回転サルコーは4分の1回転不足で両手もついた。続く4回転トーループも4分の1回転が足りなかったが、こらえて降りた。その後は3回転フリップからの3連続ジャンプなどを決め、あとは情感たっぷりに「これからも僕はいるよ」を締めくくった。

演技を終えると「今朝の練習も6分間(演技直前練習)も気持ちをコントロールできた。でも、ジャンプが本番になったらギリギリになってしまった」と振り返りつつ「でも、スケートカナダに比べれば失敗を最低限に減らせた。転倒をなくせたのは、短い期間でしたけど、成長したところかな」と自信を深めた。

右足関節靱帯(じんたい)損傷で欠場した羽生結弦(26=ANA)の代役として出番が回ってきた。「羽生選手も大変だったと思いますし、考えもあると思います。もちろん補欠として出場することには複雑な思いもあったので、今大会は楽しむというより、自分の役目を果たしたいなという気持ちではいました。最後まで自分らしく滑り切れたんじゃないかな」と穏やかな表情で話した。

試合前には「羽生選手からのバトンを、自分のスケート人生にもつなげたい」と話していた。その通りの演技完遂に納得した。

もともと1試合だったGPシリーズ2戦に出場。「自分の可能性を知ることができたし、世界との差も分かった。スケート人生につなげられるような経験になった」という。週明けには19日からのワルシャワカップ(ポーランド)に出場。連戦となるが、その先、年末の全日本選手権(さいたま)も見据えて苦労を歓迎する。

「少しずつですけど、大きな失敗をなくせてきてはいる。ステップアウトだったり回転をキレイに締めたり、が課題。ちょっとのミスを改善していけたら。今まで緊張だったり、不安が出てしまうと大きな失敗につながっていたけど、今回これだけのミスだけに抑えられた。成長を感じられているので、もっと質を上げていきたい」と進化を実感していた。【木下淳】