静岡聖光学院が21-7で昨年王者の東海大静岡翔洋に快勝し、2年ぶり7度目の優勝を飾った。選手主導で戦術を話し合い、キックで前に出る作戦が奏功。元日本代表・小野沢宏時氏(43)の長男でWTBの小野沢謙真(けんしん、1年)が2トライを挙げ、王座奪回に貢献した。全国大会の組み合わせ抽選会は12月4日に行われ、同27日に大阪・花園ラグビー場で開幕する。

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静岡聖光学院の小野沢が、同じポジションだった父親譲りのプレーを見せた。前半7分に敵陣22メートルの中央から右に渡ったボールを受け取ると、50メートル6秒5の俊足を生かし右隅にトライ。同25分にもハーフライン付近から、巧みなステップで相手2人をかわしてゴールポスト右に飛び込んだ。集まった仲間の祝福に笑顔で応えた。「うれしかったけど、本当は3トライしたかった」と苦笑いを見せた。

チームは決勝までの1週間、翔洋戦でどう戦うか考えてきた。敵陣で戦い続けてプレッシャーを与えるため、キックでFW陣を前進させるなどの戦術を練った。小野沢は、キッカーのFB立山一希(2年)と守備位置を入れ替わりながらボールを蹴り、相手をかく乱。「イメージ通りできた」と振り返った。

前回大会決勝で敗れた直後から指揮する奥村祥平監督(40)は、選手主導を貫いた。勝因について「選手らがよく考えて話し合った結果」と目尻を下げた。

花園の晴れ舞台に2年ぶりに戻るチームは代々、初のシード校撃破を目標に掲げてきた。CTB丸尾瑛(えい)主将(3年)は「気を引き締め、本番に向けて戦術などを見つめ直す」と強調。今度こそ、目標を達成する。【倉橋徹也】