戸上隼輔(20=明大)が、シングルス決勝で松平健太(30=ファースト)を4-2で下し初優勝を飾った。第1ゲーム終盤は得意のチキータで連続得点して11-9で先取。これで流れに乗った。松平にその後2ゲームを奪われたが、最終第6ゲームも11-6で競り勝った。男子ダブルスに続き2冠を達成した。

男子シングルスとダブルスで初優勝を果たしたことについて、戸上は「この結果に満足していない」。発言の真意は、さらに高みを目指すから。2冠獲得で大きな自信を手にした20歳は「日本を背負うという気持ちが強くなった」と実感を込めた。

強気な攻めと同様に力強い言葉が目立つ。好きなプロレスがきっかけだ。新日本プロレスで活躍する内藤哲也や棚橋弘至がお気に入りで「(内藤は)すごくかっこいい。棚橋選手はみんなから愛される。僕もそんな選手になりたい」。

立ち振る舞いだけではなく、ステージ上でのコメントにも注目。昨年5月のアジア選手権選考会以降はレスラーたちと同じように強気な言葉を放つようになったという。その効果は抜群で「緊張した場面でも強気なプレーし、格上の選手にも臆(おく)することなくできる。緊張で負けることはなくなりました」。大きな気づきを与えてくれたプロレスラーたちへの尊敬が止まない。

年内の目標は世界ランキング20位以内入ることと具体的に挙げた。「2022年を戸上の色に染めたい」と独特な言葉で締めた。怖いもの知らず20歳が、2年後の24年パリオリンピック(五輪)に向けて幸先よいスタートを切った。