スピードスケート男子500メートルの10年バンクーバーオリンピック(五輪)銅メダリストで、元世界記録保持者の加藤条治(37=博慈会)が29日、都内で記者会見を開き、現役引退を表明した。

今後については「これからも博慈会の職員として活動します。詳細は決まってなくて、引退会見もしっかりした後、加藤条治を使いたいと言ってくださる人がいれば協力させていただきたいですし、スケート人なので、スケートに関わっていきます」と語った。

育成、普及、指導の道に進むといい「日本スケート連盟の方で、まだ立ち位置としては決まっていませんが、選手育成とコーチ指導を行うことになるかもしれません。ただ、フルタイムではなく、ポイント、ポイントになるのか。まだ分かってません。4月21日に理事会があって、その後、発表されるのかな。現役をやめても貢献していきたいですし、どういった形でスケートに関わっていけるのか。コーチだけでなくスケートを楽しむことも。スピードスケートというものは競技としてしか存在しないと思われている。普及活動にも力を入れていきたいと思います」と力を込めた。

現役時代は独自のトレーニング法を確立してきた。「指導者になるとか、人にものを教えるとか、そういった気は全くなくて。無理だなと思ってましたし、知識もあるわけじゃないし、1人でやってきたし。でも(出場を逃した)今回、北京五輪を見ていて、ゲスト解説の仕事とかいただいて初めて、ほかの選手の滑りをものすごく勉強したんです。どうやって滑ってんのかな、感覚とか、自分で滑りながら実践してみたり。その中で人に伝えていくことに興味を持ち始めたんですよね。自分がやってきたことの説明付けになるし、やってきたことをここで終わらすのも、もったいないなと思って。自分の次の可能性を見いだせたら。今までは食わず嫌い。ほかの楽しみもあるんだなって思い始めたところ」と心境の変化を説明した。【木下淳】