花園近鉄ライナーズが大一番で2連勝し、トップリーグ時代の2017年度以来の1部昇格を決めた。

リーグ2位から臨んだ順位決定戦で34-22で同1位の相模原(三菱重工)に勝利。リーグ戦で2連敗していた相手に雪辱を果たした。

相模原は入れ替え戦に回る。

水間良武ヘッドコーチ(HC)は「(コロナ禍で)試合にたどり着くまでが大変でした。爆発的な攻撃力で5トライ以上を目標に掲げていて、それを達成することができた。ただ3トライ(失点)は多いので、2トライ以下に抑えたかった。少し休んでから、来季に向けて準備したい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

オーストラリア代表を支えたSHウィル・ゲニア(同国代表110キャップ)とSOクエイド・クーパー(同75キャップ)の超豪華ハーフ団と、日本代表CTBシオサイア・フィフィタ(23)を擁し、新リーグ創設初年度で2部優勝。来季の1部自動昇格となった。

前半5分に左ラインアウトからロックのサナイラ・ワクァが先制トライ。6分後にはSOクーパーの華麗な飛ばしパスからWTB片岡涼亮がインゴールへ。ワクァと片岡は前半だけで2トライずつを挙げ計4トライ。27-15で折り返した。

後半には一時、5点差に迫られるも、同28分にSOクーパーからCTBフィフィタとつなぎ、最後はクーパーが飛び込んだ。ゴールも決まって34-22。

その後、ゴール前まで攻め込まれてもFW陣がスクラムで踏ん張った。

決戦2日前のメンバー発表時、花園の水間HCは「(相模原に今季)2敗しているというのがいいですね。これ以上ないストーリーになる」と“下克上”を予告していた通りの結果になった。

天国の仲間へささぐ1部復帰でもあった。

9年前の2013年5月12日に現役選手だったフランカーの中井太喜さん(京産大出身)が、胃がんのため24歳で早すぎる生涯を終えた。近鉄を支えたハードタックラーで、日本代表入りも期待された選手だった。命日を前に、いい報告をすることができた。

関西勢は来季、花園と神戸(旧神戸製鋼)の2チームが1部、活動規模を縮小する大阪(NTTドコモ)は3部降格になる見通し。

同大出身のフランカー野中翔平主将は感激した様子で「1年間積み重ねてきたものを出すことができた。ミスもありましたけど、全員で助け合うことができた。今年築いたライナーズスタイルを1部でも出して、トップを目指したい」と語った。

日本選手権を制すること3度(66、67、74年度)。関西の古豪が来季、1部に帰ってくる。

◆花園近鉄ライナーズ 1927年(昭2)にラグビーチームとして活動が始まり、花園ラグビー場が開設になった29年に大阪電気軌道(近鉄の前身)ラグビー部として創部。36年大阪実業団大会で初優勝。第2次世界大戦中の41年には出征部員の壮行試合を開催し、44~49年には花園が農地として接収された。日本選手権は66、67、74年度に優勝。トップリーグは初年度から参戦し、11年度の5位が最高成績。主なOBに元日本代表WTBの坂田好弘氏、トンプソン・ルーク、大西将太郎らがいる。本拠地は東大阪市花園ラグビー場(約2万7000人収容)