冬季五輪2連覇後の北京大会で4回転半が初認定された羽生結弦(27=ANA)が27日、アイスショー「ファンタジー・オン・アイス」の千葉・幕張イベントホール公演に登場した。

2月20日の北京五輪エキシビション以来96日ぶりとなる演技。シンガー・ソングライターのスガシカオ、広瀬香美とのコラボレーションで「午後のパレード」「Real Face」「ロマンスの神様」を舞った。今後は6月の静岡まで4都市12公演の全てに出演する。

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オフ期とは思えない難度のジャンプを羽生は用意していた。3年ぶりに復活した公演のオープニング。いきなり4回転トーループ(T)を降りた。北京で負った右足首捻挫は完治していないという。それでもショーでは跳ぶ人が多くない4回転を決め、グランドフィナーレでは再び4T成功…だけで終わらない。間隔こそ空けたもののトリプルアクセル(3回転半)の連続につなげ、満員の5000人の感嘆と拍手を誘った。

黒を基調としたラメ入りジャケット姿、グレーの衣装、白シャツにカラフルなスカーフで3曲を舞った。冒頭はスガの「午後のパレード」を口ずさみながらグループの先頭で、中央で、キレキレの振り付けを演じた。大トリでは「Real Face」を初披露。スガが06年にKAT-TUNへ提供し、ミリオンセールスの楽曲とコラボ。コップの水を頭にかける演出も盛り込みながらワイルドなロックの世界観を表現した。

フィナーレは広瀬香美の「ロマンスの神様」だ。全出演者と息を合わせ、氷のステージを沸騰させ“主演”として大団円に導いた。最後、音が消えて静まりかえった場内で叫ぶ。「ありがとうございましたー!」。地声を響かせ、右拳を突き上げ、初日を締めた。

取材対応はなかったものの、開演前に主催者のSNSを通じ「全力で頑張りますので、ぜひぜひ、めちゃくちゃ楽しみにしてくださーい」と膨らませた期待に応えた。29日までの幕張会場を含め、今後は名古屋(6月3~5日)神戸(同17~19日)静岡(同24~26日)の4都市12公演全てに出演する予定だ。【木下淳】