【パリ(フランス)=吉松忠弘】昨夏の東京オリンピック(五輪)代表で、ダブルス世界8位の柴原瑛菜(24=橋本総業)が、ウェスリー・コールホフ(33=オランダ)とのペアで、4大大会初優勝を果たした。

ノーシードのウリケ・アイケリ(ノルウェー)、ヨラン・フリーゲン(ベルギー)組に7-6、6-2のストレート勝ち。4大大会で日本勢の混合ダブルス制覇は99年全米の杉山愛以来23年ぶり、全仏では97年大会の平木理化以来25年ぶりの快挙となった。

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柴原の夢を乗せた時速154キロのサーブが、マッチポイントでエースとなった。その場で両手を突き上げ、体を反らし、目いっぱい4大大会優勝の喜びに浸った。「夢がかなった。ウェスリー、パートナーに選んでくれてありがとう。最高の気分だけど実感が湧かない」。笑みがはじけた。

第1セット、5-2リードから追いつかれ、タイブレークで残り2点の2-5と追い込まれた。しかし、柴原がペアの不調を支え、最後は両者ともにスーパーショットを連発。5点連取で、第1セットをもぎ取ると、そのまま押し切った。

柴原の夢がかなった瞬間だった。「小さいときから五輪代表と4大大会優勝が夢だった」。両親が日本人で米カリフォルニア州で生まれ育った。日本にいる祖母に自分のプレーを見せたいと、日本の国籍を選択。青山修子とのペアで、女子ダブルスで東京五輪代表になり、金メダル候補だった。しかし、まさかの初戦敗退で号泣した。

その悔しさを、この日の優勝で晴らした。「五輪に出られたのは自信になった。今回、(祖母も)テレビで見ていてくれると思う」。兄2人の末っ子で、テニスをやると必ず混合になった。「その混合で優勝。特別な気分」。

20年全米ダブルス準優勝のコールホフからのラブコールで最強ペアは結成された。5月に、柴原をインスタグラムで誘い、今大会で初めてペアを組んだ。コールホフは試合後、「私の誘いにイエスと言ってくれてありがとう。一緒にプレーするのは最高だった」と柴原をたたえた。

柴原はウィンブルドンでの混合ダブルスについて「組みたいが、男子ダブルスが5セット制なので難しいとも感じる。組んでくれたら、うれしいけど」。インスタが生んだ“インスタント(急造)”ペアが、日本の歴史に名を刻んだ。

◆柴原瑛菜(しばはら・えな)1988年(昭63)2月12日、米カリフォルニア生まれ。父義康さんの仕事の関係で、生まれも育ちも米国。7歳でテニスを始め、16年全米オープン・ジュニア複優勝。全米ではトップジュニアで、カリフォルニア大ロサンゼルス校に進学。17年全米大学シングルスで4位にランクされた。19年プロ転向で大学は休学。ツアーのダブルスで通算8勝を挙げ、22年全豪では4強入り。同年3月には、自己最高のダブルス世界4位となった。家族は両親に、兄2人の5人家族。173センチ、60キロ。

◆混合ダブルス 世界ツアーでは、4大大会だけで行われる種目。基本的に、ダブルスの世界ランキングを元に、本戦入りやシードが決められる。世界ランキングのポイントはつかないが、賞金は獲得できる。4大大会の正式な種目で、歴代優勝者の名前が刻まれる。過去、日本選手の混合は、男子1度、女子2度の優勝で、柴原は4人目。五輪では12年ロンドン大会から種目に復活した。

◆WOWOW放送予定 3日午後9時半から。4日午前0時20分から。ともにWOWOWライブ。生放送。男子シングルス準決勝ほか。WOWOWオンデマンドとWOWOWテニスワールドで全コートライブ配信される。