B組の日本(世界ランキング38位)が台湾(同69位)に89-49で快勝した。代表デビューを果たした河村勇輝(21=B1横浜BC)が攻守で存在感を発揮。途中出場で第2クオーターからコートに立ち、約14分間のプレーでチーム最多の8アシスト、5スチールをマーク。代表初得点こそお預けになったが、存在感を示した。

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戦術の理解力やコート上での瞬時の判断力などから、河村はしばしば「バスケIQが高い」と評される。その明晰(めいせき)さは学業にも反映されていた。中学時代は「オール5」と優秀な成績。高校進学後はバスケに比重を置いたが、福岡第一高の恩師にあたる井手口孝監督は「勉強一本に絞っていれば、東大に行ったかもしれないぐらいの学力の持ち主」と明かす。

文武両道かつ真面目な性格。それでも初めて16歳以下の日本代表に選ばれると、若さゆえ慢心が出た。福岡に戻ってきた直後の練習で、同監督はその態度を見逃さなかった。「お前がいるチームが日本代表なら東京に帰れ」と一喝。その言葉で河村はわれに返った。謙虚とひたむきさを取り戻し、ウインターカップ連覇につなげた。

井手口監督は試合前、「生き生きした表情でやってくれれば」と話していた。その言葉に応えるかのような、はつらつとしたプレーだった。【奥岡幹浩】