東京オリンピック(五輪)代表の吉田健人(29=警視庁)が、大会2連覇に王手をかけた。

世界選手権(7月、カイロ)を終えてオフを取り、練習を再開したのは「先週から」。それでも予選プールを5戦全勝で通過し、トーナメントでは3回戦で同じく世界選手権代表の星野剣斗(ネクサス)を、4回戦で同代表の小久保真旺(法大)を振り切った。

「いい感じで予選を上がれて。でも(トーナメントの)山を見たら、結構、早い段階で当たるなと。これは厳しい戦いになるなと思っていたんですけど、しっかり勝てて大変うれしく思います」

準決勝では所属の後輩、白井寛夢(警視庁)の挑戦を15-13で退けた。

「あまり調整できなかったんですけど、技術的にベストではない状態でも、スピードだったり、自分の持ち味を生かそうと練習してきました。国内で一番大きな大会ですし、全日本を取れば、まさに日本一。3年連続の決勝になるので、しっかり2連覇できるように調整したい」

サーブル種目では、女子の江村美咲(立飛ホールディングス)が世界選手権で金メダルを獲得。団体戦も銅メダルと勢いを増している。

一方で吉田は、個人で星野との日本人対決に敗れてベスト32に残れず、団体も16強だった。

「世界選手権のような大きな大会で日本人の仲間と当たることが初めてだったので、星野選手のペースになってしまった。ペースにのまれず、自分で持っていけるようなメンタル、技術を身につけないといけないと痛感した」

同じ大会、男子エペでは見延和靖(ネクサス)が山田優(山一商事)加納虹輝(JAL)との金メダリスト対決を制して、史上初の銀メダルをつかみ取った。

「現地で見ていて、誰が勝ってもおかしくない状態の中、ギリギリの競った展開をものにした見延先輩の戦いは勉強になりました。女子のいい成績も、うれしいんですけど、やっぱり続いて…というか、僕ら男子が女子を超えるような成績を残していかないと」

正直、他種目に後れを取っている状態だが、一気に花開く可能性があるのもエース吉田だ。

昨年11月のグランプリ(GP)オルレアン大会(フランス)で銅メダル。男子サーブルが主要国際大会(五輪、世界選手権、GP、ワールドカップ=W杯)でメダルを獲得するのは史上初めてだった。

歴史を塗り替え「世界でも実力を証明できた。他のメンバーも、僕がメダルを取れたのであれば『自分も!』と自信につながったと思います」と急激に底上げが進んでいる。

手応えを実感しながら迎える今年の決勝は、LINE CUBE SHIBUYAで11月5日に開催される。相手は日本代表のチームメート、ストリーツ海飛(28=鹿児島ク)だ。

「手の内は分かっていますし、戦術を組み立てるのがうまい選手。嫌がることをしてくるので、のまれないように、逆に自分のペースでいきたい。時間が空くので、今日の調子でそのままいけるわけではない。コンディションを整える難しさはあるけど、面白い試合になると思います。簡単には勝てない相手ですけど、しっかり2連覇できるよう調整していくので、応援よろしくお願いしまあす」

【木下淳】