アーティスティックスイミング(AS)で指導者として五輪10大会連続出場の井村雅代コーチ(72)が1日、滋賀・近江八幡市内で「心の才能を伸ばす」と題して、講演会を行った。

多くのメダリストを育てた井村コーチは「よく才能という話をしますよね。シンクロで言えば、背が高い、手足が長い、顔が小さい、音感がいい、いろいろな才能がある。いくらでも挙げられる。でも才能はあればいいけど、なくてもいい。大切なのは、心の才能です」。

その上で、心の才能について説明した。

「うまくいかない時にどう考えるか。心の才能がない人は、きっと自分に向いてない、だからやめようと考える。心の才能がある人は、自分の努力が足りなかったんだ、もっと努力しようと考える」。

その際、見守る側に大切なことは毎日、小さな成功体験をさせることだという。「垂直跳びで30センチ跳べる。3カ月後の40センチ跳ぼうといっても、ハードルが高い。『明日は30センチと1ミリ跳ぼう』。次の日にもう1ミリ跳ぼう。この小さな努力、小さな進歩が大切。五輪選手でもそうやってレベルを上げているんです」と説明した。

会場の近江八幡市は、井村コーチが指導する乾友紀子の出身地。今夏の世界選手権では日本人初のソロ2冠を獲得している。井村コーチは「彼女(乾)には心の才能がある。『できるまでやる』ということが自然にできる」。その上で来夏の世界選手権福岡大会で2連覇を狙う愛弟子について「応援してやってください」と呼びかけていた。