バイアスロン女子で18年平昌、22年北京の両オリンピック(五輪)に出場した田中友理恵(33=アスクゲート)が、山岳スキーで26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指す。人材派遣、イベントなどを事業展開するアスクゲート(本社・札幌)にアスリート社員として勤務。夏は社業中心、冬は同五輪で新採用される競技に専念できる環境を得て、3度目の大舞台に挑む。

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スキー板はクロスカントリーやバイアスロンの太さの約2倍。雪山を登る時は、板に滑り止めのシールを貼る。バイアスロンのようにライフル銃はかつがないが、スキー板を外してかつぎ、ブーツでザクザクと登るコースもある。26年五輪で新競技に採用される山岳スキーで、田中が3度目の五輪を目指す。「もう1回、オリンピックの舞台で走りたい」と目を輝かせる。

日大から札幌の自衛隊冬戦教(現自衛隊体育学校)に入隊。約11年間、バイアスロンに取り組んだ。北京五輪に出場後、一線を退く予定だった。ところが五輪から帰国後、次回大会で山岳スキーが競技に正式採用されたニュースを思い出し、まずはスキーをレンタルして競技を初体験。約1週間後の代表選考レースで2位に入り、来年2月の世界選手権(スペイン)出場権を獲得した。引退が転向に変わった。

そんな田中のサポートに乗り出したのが、アスクゲート社だった。夏は人出が必要だが、冬は既存の社員で十分に仕事を回せるイベント企画室で、冬季は競技に専念できるアスリート社員の募集を開始しており、とんとん拍子で採用が決まった。「隣の机で働く社員が五輪に出るとなると他の社員の刺激にもなるでしょうし、もちろん会社のピーアールにもなります」と同社経営企画部の小川弘康部長は話す。

入社から1カ月は人生初のホームページ作りを体験。アスクゲートグループのレストランで開発した、美瑛産ミルクを使ったプリンなどを販売するサイトを手がけた。「率直に楽しいですけど、思うようにできないもどかしさはありました」と苦笑いする。

11月中旬からは、すでに雪のある旭岳に入り、26年に向けて本格的なスタートを切る。今季は世界選手権のほか、ワールドカップ(W杯)にも3戦出場し、五輪出場に必要なポイント獲得を目指す予定だ。「(五輪の)目標は…入賞です」。大きな後ろ盾を得た田中が、バイアスロンでは届かなかった位置に、新競技で挑む。【中島洋尚】

◆山岳スキー 雪山に設定された昇降コースを滑り止めのついたスキーでの滑降や、スキーを外した状態での走行などで速さを競う。正式名称の「Ski Mountaineering(スキーマウンテニアリング)」を略して「SKIMO(スキーモ)」と呼ばれる。個人種目は麓から頂上へ向かう「バーティカル」、滑り止めを付けたスキーでの走行、ブーツでの歩行、スキーでの滑降を合わせた「スプリント」、山頂までの昇降を複数回行う「インディビジュアル」などがある。26年五輪では男女の個人戦スプリントと男女混合リレーが種目になる予定。

◆アスクゲート 00年に旭川で創業。人材派遣サービスを中心に、飲食・宿泊、介護、自動車販売・整備、コールセンター、保育、日本語学校などの事業をグループ各社で展開。道内中心だが、仙台、東京、福岡にも事業所がある。斉藤三寛代表取締役。採用を希望する冬季競技選手は同社【電話】011・833・3055まで。

◆田中友理恵(たなか・ゆりえ)1989年(昭64)1月6日、新潟県南魚沼市生まれ。南魚沼上田小4の時に六日町ジュニアでノルディックスキー距離を始め、南魚沼塩沢中3年で全国中学5位、リレー優勝。新潟・小出高3年で全国高校3位。日大時代は全日本選手権8位が最高成績。自衛隊冬戦教(現自衛隊体育学校)入隊と同時にバイアスロンに転向。平昌、北京五輪出場。159センチ、体重50キロ。家族は両親と弟2人。