新潟アルビレックスBB(中地区)は仙台89ERS(東地区)を2試合連続となった延長戦を79-75で制し、10月1日の今季開幕の島根スサノオマジック戦以来64日ぶりの白星を挙げた。連敗を14で止め、今季2勝目をマークした。65-68の第4クオーター(Q)残り9秒からSG木村圭吾(22)の劇的3点シュートで同点に追い付き延長に持ち込む。延長の残り3分11秒、70-70からSG杉本天昇(24)の3点シュートで勝ち越すとリードを守った。ベテランのPG綿貫瞬(35)が31分の出場で7アシスト、10リバウンドでチームをけん引した。

試合終了と同時に綿貫は自然と天を仰いだ。ファンがたたくハリセンの音が場内に響く中、両手を何度も固く握り締めた。「久しぶりに勝った瞬間にコートにいられた」。35歳のベテランが勝利を素直に喜んだ。

接戦の中、冷静に試合を作った。「仙台のプレッシャーがきつかったので、僕がボールを持って落ち着かせてパスを出した」。普段ならパスを回しながら流れを作るところを、あえて自分が保持。第1Q終了間際のSG遠藤善(24)、延長に持ち込んだ第4Qの木村の同点シュートと要所での3点シュートをアシスト。計7アシストでチームに流れを呼び込んだ。

延長では杉本の勝ち越し3点シュートの前にオフェンスリバウンドを獲得。計10リバウンドはPFケヴエ・アルマ(23)の12、Cコフィ・コーバーン(23)の11に続く。コナー・ヘンリー・アドバイザリーコーチ(59)は「私と意思の疎通をし、ゲームコントロールでいい影響をチームに与えてくれた」と絶賛した。

状態は万全ではない。10月の滋賀戦で痛めた左足首の状態が思わしくなく、それをかばって延長で右足首を負傷。それでもヘンリー・コーチの「行けるか?」の問いに「『行けます』と言うしかなかった」と笑う。開幕の島根戦以来の今季2勝目。その土台には31分18秒間コートに立ってターンオーバー0の安定した綿貫のプレーがあった。

指揮を執って5試合目で待望の白星を挙げたヘンリー・コーチは「今、この瞬間にできることに集中した結果」と選手をたたえた。反転攻勢への手応えはつかんだ。綿貫は「うちはまだ粗削り。次も崩れないようにする」。次節アウェー広島戦(10、11日、広島サンプラザホール)に向け、気持ちを切り替えた。【斎藤慎一郎】