開志国際(新潟)は藤枝明誠(静岡)に78-76で競り勝ち、初の決勝進出を決めた。昨年の帝京長岡に続き、県勢2年連続の決勝選出。終盤には1ゴールを争うシーソーゲームになったが、76-76で迎えた第4クオーター(Q)残り17秒7からのスローインからSF介川アンソニー翔(3年)が勝ち越しのシュートを決めた。今日29日の決勝の相手は福岡第一。今夏の全国高校総体決勝と同カードで、1点差で敗れていた開志国際はリベンジする絶好の機会を得た。

電光掲示板の時計は試合の残り時間17秒7を示して止まっていた。スコアは76-76。開志国際のスローインからゲーム再開。心臓が破裂しそうな緊張感の中でエースのSF介川が勝ち越しシュートを放つ。ゴール下で右手を伸ばしてリングに沈めた。マーカーには208センチの外国人留学生ボヌ・ロードプリンス・チノンソ(1年)がいたが、意に介さなかった。「いけるんじゃないかと思った。相手は4ファウルしているから強く当たってこないはず」。緊迫した試合展開でも冷静な判断だった。

勝利にかける、すさまじいばかりのエネルギーだった。第2Qの序盤に15-26と11点差に置き去りにされたが勝ちを捨てなかった。第3Qの終盤に1度は逆転しながら最後まで1ゴールを争うシーソーゲームになった。そして最後はエース。富樫英樹監督(60)は「選手たちに『最後は誰で行く』と聞いたら『(介川)アンソニーでいく』と。デザイン通りです」と会心の表情を浮かべた。

今年のウインターカップで同校の最高成績を更新し続けた。過去4度出場して3回戦止まり。インターハイは18年に優勝、今年も準優勝と上位の常連ながら、冬は勝てなかった。準々決勝に挑む前の27日のミーティング。富樫監督は選手たちに感謝の言葉さえ口にしている。「お前ら本当にありがとうな。歴史をつくってくれて。これから、もうちょっと作っていこう」。

選手はその声に応えた。27日に初の8強を決めると、藤枝明誠との準決勝で初の4強。そして今日29日、福岡第一との決勝で初優勝に挑む。この日2点差で笑ったメンバーは夏は76-77の1点差に泣いている。介川は「相手はディフェンスが強い。速い」と表情を引き締めた。【涌井幹雄】

◆テレビ放送 男子決勝は29日午後1時からテレビ朝日系で生放送。

【高校バスケ「ウインターカップ」スコア速報】はこちら>>