ショートプログラム(SP)首位の坂本花織(22=シスメックス)が、全種目を通じて日本初の2連覇を達成した。フリー145.37点を記録し、合計224.61点。日本のエースが自国開催の大舞台で地力を証明した。

積み上げた経験が、自らを高みに押し上げてくれた。現地入りし、最初の公式練習を終えた20日。坂本は感慨深げに思い返した。

「あの時はシニア2年目で、そこからだいぶ年月もたった。1回オリンピックも挟んでるので、やっぱり気持ちの面で『こうすれば大丈夫』っていう経験が増えてきた。そこは4年前とは、全然違うところかなと思います」

4年前の19年。世界選手権初出場の舞台が、同じさいたまスーパーアリーナだった。SPは前年の平昌五輪(オリンピック)を制したザギトワ(ロシア)に次ぐ2位発進。だがフリー5位と失速し、総合5位で表彰台を逃した。

「(4年前は)本当に追い込みに追い込みをかけて、絞って、世界選手権に懸けていた。準備万全な状態で挑んだからこそ、失敗がすごく悔しかった」

練習通りの姿を、フリーでは見せられなかった。

あれから4年。22年2月の北京五輪(オリンピック)では個人、団体で銅メダルを獲得し、気持ちの浮き沈みを乗り越えて、翌3月に世界女王の座に就いた。

今季は追われる立場になった。SP首位発進で、自動的に最終滑走が決定。だが、これまでの過程で何度も重圧をはね返していた。

大会前、2連覇達成時の「ご褒美」を問われて笑った。

「連覇はそこまで気にしていないです。(ご褒美は)特に何も考えていないです。熟睡したい」

重圧との付き合い方、心の整え方は、世界の大舞台を経験することで培った。浮き沈みが少ない強さが備わった。今大会の経験もきっと、さらなる飛躍への引き出しになる。【松本航】

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