女子100メートルバタフライで社会人初戦の池江璃花子(22=横浜ゴム)が、6年ぶりの世界選手権(7月、福岡)代表に内定した。

57秒68で2年ぶりの頂点に立ち、派遣標準記録の57秒92を上回った。19年2月に判明した白血病から復帰後、個人種目での代表は21年東京五輪を含めて初となる。女子200メートル個人メドレーでは高校2年の成田実生(金町SC)が初優勝で初の代表内定。男子400メートル個人メドレーでは瀬戸大也(CHARIS&Co.)が3連覇で代表切符を得た。

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あふれ出た池江の感情はしぐさに表れた。優勝を知ると、左拳で思い切り水面をたたいた。水しぶきを頭から浴び、にっこり笑った。目を潤ませ「タッチで自分が1番だと思わなかった。今日の自分の力を120%出せた」とかみしめた。白血病から復帰後の自己ベストが、個人種目では18年ジャカルタ・アジア大会以来の代表復帰へと導いた。

冷静さと意地を持ち合わせた。午前の予選は58秒59で全体4番手。決勝前には仲間と「笑って帰ってこよう」と約束し、最下位の8番でも笑うと心に決めた。進んだスタート台。過去4度制した種目を前に「自分は池江璃花子。本来だったら誰にも負けない」と唱えた。折り返しでは相馬、牧野らに次ぐ4番手。邪念はなく「勝っても負けてもいい」と全てを出した。逆転の決着はタッチ差だった。

昨夏から不調に苦しんだ。闘病前の自らと重ね「昔みたいな自信は全くない」とつぶやいた。悩み、肩の力を抜き、良くない部分を口にしてきたレース後に前向きな言葉を並べるようにした。「言霊(ことだま)があると思うんです」。スプリント練習を経て23年に突入し、前半の50メートルを楽に泳ぐことに注力した。その中で「ストロークを増やさずに速く泳げれば、後半はみんなと同じぐらいか、それ以上に強いと思う」と地力を信じた。

3月に日大を卒業し、新しい所属先となった横浜ゴムの関係者も見守った。今大会は5種目にエントリーし「(7日の)100メートルの自由形というところに関しては『まだまだいけるんだな』という実感が湧いてきた。少しは楽に試合に臨める」と力がみなぎった。東京五輪が行われたプールで、世界へ羽ばたく泳ぎを続ける。【松本航】