昨季はグランプリ(GP)シリーズで初出場初優勝を飾るなど飛躍のシーズンとなった渡辺倫果(20=TOKIOインカラミ/法政大)が、その歩み自体をプログラムに落とし込んだ。

今季、振付師のシェイリーン・ボーンさんと組んだフリーについて「自分のジュニアの苦しい時期からどのように今のようなスケートと言いますか、いまの立場があるまでの過程を、今回のフリーで表現していければいいんじゃないかな」と説明した。

自ら「暗黒時代」と呼ぶ苦しんだジュニア期、そして乗り越えて光が見えた昨季。「本当に最初の方の暗い曲はジュニア時代の苦しい気持ちだったりとか、ちょっと苦しい時期のものを表現していて。ただ、それなくして、世界選手権代表だったりはなかった。一気にスピード出世を昨シーズンと言いますか、しましたけれども、その経験なくして、そのものはなかったなって」。つらかった過去も、作品として昇華させる。

「女子があまりしないような曲調のやつをやってみたいなっていう風に思っていて。自分の中でも壮大な世界を作り出せたらいいなという気持ちで選んだ」と選んだフリーの曲名については、「ちょっと分からない」と照れ笑いした。「3曲、2曲ぐらいにいろいろいろんなのを混ぜて」とオリジナリティーを増す。

持ち味である大技、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)については、「フリー2回入れるのをまずベースとして。ショート、フリーで合計3回ありますけれど、まずはそれを安定させていくことがまず大事なんじゃないかな」と今季も継続して取り組む。さらに「挑戦の面で言いますと、やっぱり4回転を、少しずつ取り組んでいけるようになればいいんじゃないか」とも言及。昨年から取り組んではきているが、あらためて意欲をみせた。

現在は4回転ループを最優先としている。一般的にはトーループ、サルコーから習得を目指す選手が多いが、「私はトーループとサルコーが超絶嫌いなんで」と苦笑。「普段一番仲のいい親友のループと、今は話し合いしながら4回転に取り組んでいます。今季は振り付けが終わっているので、多分入れないと思います」とした。