【バンクーバー(カナダ)=阿部健吾】ショートプログラム(SP)首位の坂本花織(23=シスメックス)がフリー151・00点、合計226・13点で優勝した。世界選手権2連覇中の女王は、2位に約25点差を付ける圧勝。GP2戦の合計の上位6人が進むGPファイナル(12月、北京)にも前進した。

「いやあ、それ言ったら完璧だったなあ。早く言ってよー」。メダリスト会見を終えて壇上から降りた坂本は悔しがった。最後の質問で、ファンから投げ込まれ、得点を待つ間におどけて食べるしぐさを見せたすし(マグロのにぎり)のクッションの“味”を聞かれた。

「最高においしかったです!」。満面の笑みに報道陣からも笑いが起きて終幕となったが、はたと気付いた。「『フィーリンググッド(Feeling Good)』って言えば良かった!」。フリー曲に使っている楽曲のタイトル。まさにこの日の演技では「良い気分」な事が続いたばかりだった。

「落ち着いて、普段の尼崎で練習でやっているような感じでできた。やっていて楽にできた」。適度な緊張感は好演技の良薬。冒頭のダブルアクセル(2回転半)を決めると、「今日は割といけるかなっていう感じ」と次々にジャンプを決める。

「あ、顔死んでるかも」と思った後半。「フィーリンググッドに変わってから、フィーリンググッドになった」と表情にも気を配れた。さらに会場からは手拍子。「この曲でもらえるの!」とテンションが上がって、再び「フィーリンググッド!」。盛り上がってフィニッシュまで持ち込み、ファンからはすしのクッションももらった。

気分上々で優勝も飾り、「この曲のタイトルをこう使う時が来るとは。これから使っていこう!」と今季の決めぜりふにも浮上した。GPは4勝目。「こんだけ出てまだ4勝なんやっていうのがびっくりで。だって多分シニア7年目になるのに。まだまだ、全然まだまだだなって思います」と慢心はなし。次戦は11月の第5戦フィンランド大会。「調子を落とさずこのまま維持していけたら」。良い気分のまま、世界選手権3連覇に挑む今季を疾走する。

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