昨年全国高校総体8強の東北(宮城)が、準々決勝で昇陽(大阪1位)に0-2のストレート負け。坂本アンディ世凪主将(3年)が打点の高いスパイクでチームをけん引したが、勝利には届かなかった。前回大会優勝の古川学園(宮城)は3回戦で金蘭会(大阪1位)に1-2で敗れ、5大会連続8強入りを逃した。照井莉子主将(3年)が1年生主体のチームを引っ張り、新チームに日本一を託した。これで東北勢はすべて敗退した。

 

東北は3回戦で習志野(千葉)に逆転勝ちしたが、1日2試合の「鬼門」は突破できなかった。準々決勝は同総体4強の昇陽と激突し、第1セットは一時23-22とリードしたものの、そこから痛恨の3連続失点。同Sを奪取され、第2Sは要所でのサーブ失敗、サウスポーの小山海皇(みこと、3年)の切れのあるスパイクに苦しめられた。吉田康宏監督(53)は「要所で全部いいところを決めきられたことが敗因。一枚上手だった」と脱帽した。

前回大会は3回戦の鎮西(熊本)戦でフルセットにもつれ、26-25とマッチポイントと迎えたが、痛恨の連続失点で涙をのんだ。坂本を中心に再び東京体育館に戻り、昨年を超える1大会3勝を挙げた。試合後、涙を見せずに悔しげなチームメートに語りかけた主将は「自分が最後決めきれなかったことが一番。ここまで支えてくれたことにすごく感謝している」と前を向いた。

岩手から宮城の名門に進み、最終学年は主将を務めて人間的に成長した。02年以来となる悲願成就を後輩に託し、自身は大学でさらなる高みを目指す。「将来的には攻守ともに安定したプレーヤー。最後の1本やチームが必要な1点の時に取りきれる選手になりたい」。チームが苦しい時は得点を期待され、ボールが集まった。新天地でも高く跳び、打点の高いスパイクで坂本アンディ世凪の名をとどろかせる。【相沢孔志】

 

20年から4大会連続で準決勝進出を果たし、センターコートを経験した古川学園が3回戦で敗退した。第1セット(S)は昨年国体準V校に押され、磨いてきたレシーブ力が発揮できず、8点差で先取された。だが、照井は「もう1回、自分たちがやってきたことを信じて、出し切ろうという言葉を全員でかけ合った」。チームを鼓舞し、挑んだ第2Sは、17-16から5連続得点でリードを広げ、Sカウントをタイに。逆転勝利に望みをつなげた。

勝負の第3S。相手はVリーグ1部PFUに24年度の加入が内定した上村杏菜(3年)が本領を発揮。スパイクで得点を許し、苦しめられた女王は勝負どころで粘れず。岡崎典生監督(55)は「当たり前のことができなくなり、落ち着いてバレーができなくなった」。最後も上村の得点で勝敗は決まり、前チームの主力だった1学年先輩が観戦する中、連覇を阻まれた。

先発出場6人のうち、4人が1年生。全国大会の経験を積み、伸びしろや楽しみしかない新チームだ。妹南(1年)と戦う最後の大会が終わった姉は「この3年間で経験したことや岡崎先生に教えてもらったものを南に託し、南にこの東京体育館で輝いてほしい」と期待を寄せた。「(1年生は)目標をちゃんと持っている。来年は来年のいいチームをつくり、必ず帰ってきたい」と岡崎監督。涙や悔しさを糧に、全国屈指の名門が王座奪還に向かう。

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