世界ランキング2位の小田凱人(17=東海理化)が、4大大会3度目の頂点に立った。決勝で同1位のアルフィー・ヒューエット(26=英国)を下し、全豪初制覇。昨年大会決勝で苦杯をなめた相手を6-2、6-4のストレートで退けた。1回戦で敗退した昨夏全米以来となるグランドスラムでの王者返り咲き。4大大会とパラリンピックを制覇する「年間ゴールデンスラム」が期待される24年のスタートを、この上ない形で切った。

     ◇     ◇     ◇

シャーッ! 銀色に輝く優勝トロフィーを高々と掲げた小田が、勝利の雄たけびを上げた。昨季、4大大会の栄冠を2度ずつ分け合ったヒューエットに完勝。4大大会3勝目となる大会初制覇を飾り、満面の笑みで「楽しかった」と連発した。

大舞台で幾度となく対戦してきたライバル。「気を抜くとやられる。序盤から100%でいこうと」と、第1セット(S)から全開だった。第5ゲーム(G)。0-40と追い込まれながらも、バックとフォアを使い分けながら、強烈なウイナー(決定打)を連発。一気にギアを上げて逆転でこのゲームをブレークし、そこから5連取でセットを先取した。第2Sも攻め手を緩めず。第6Gには今大会最速となる174キロのサーブをマークするなど、反撃を抑えて押し切った。

トップ選手としてのプライドが、17歳を強くした。4大大会3連勝を目指した昨年9月の全米。当時52歳のウデ(フランス)にストレート負けし、まさかの初戦敗退を喫した。世界ランキング1位からも脱落し、一時は「(ボールを)打つのが怖くなった」と疑心暗鬼に陥った。それでも、そこからの脱却は早かった。テレビや雑誌などで「元1位」と紹介される度に、反骨心がメラメラと湧き起こった。「歯がゆすぎた。苦しすぎた。1日でも早く1位に戻りたいという気持ちで、ここまでやってきた」。攻めの姿勢が迷いを消し、再び王者へ引き上げた。

初戦から4戦連続で失セット0の完全優勝。それでも「僕のテニスは100あるうちの30にも至っていない」と喜びはあれど、満足感はない。「今年は負けずに全勝で。パリ(パラ)の頂点を目指して挑んでるので」。パリで金、そしてグランドスラムでまだ手にしていない全米を勝ち、4大大会とパラを制する年間ゴールデンスラムへ-。「めちゃめちゃいいスタートになった」。17歳の王者は、誰にも予測できない成長曲線を描いていく。

◆小田凱人(おだ・ときと)2006年(平18)5月8日、愛知県一宮市生まれ。9歳の時に左股関節に骨肉腫を発症。10歳で競技を開始。22年4月にプロ転向し、16歳の同5月全仏で4大大会男子最年少出場。昨年6月の全仏を17歳33日で制し、男子同種目で最年少優勝&世界ランキング1位に。同7月のウィンブルドンも男子最年少優勝(17歳69日)を飾った。175センチ。

◆放送 全豪オープンテニスはWOWOWで連日生放送。WOWOWオンデマンドでは全コート、全試合ライブ配信。