2021年東京オリンピック銀メダルの日本（世界ランキング9位）が、今夏のパリ五輪出場を決めた。通算3勝6敗と負け越していた格上カナダ（同5位）に86－82で勝ち、この予選を2勝1敗とし、出場権を得られる4カ国中3位以内を確定させた。初戦でスペイン（同4位）から初勝利を挙げて王手をかけながら、第2戦でハンガリー（同19位）に逆転負け。一転、立たされた崖っぷちから切符をつかんだ。日本女子の五輪出場は16年リオデジャネイロ大会から3大会連続。既に昨夏のワールドカップ（W杯）で出場を決めていた男子とともに、花の都でも走り勝つ。本大会は7月26日に開幕し、この種目は翌27日から8月11日まで行われる。
ランク上位のカナダに対し、序盤から宮崎早織がスピードを生かしたプレーで得点を重ねた。先発には1、2戦目と同じ高田真希（34＝デンソー）山本麻衣（24＝トヨタ自動車）林咲希主将（28＝富士通）宮崎早織（28＝ENEOS）赤穂ひまわり（25＝デンソー）が名を連ねた。
日本は外角シュートの比重を下げ、ドライブを多用。一進一退の攻防が続いた中で馬瓜エブリン（28＝デンソー）や山本の3点シュートなどでリードを広げた。前半を50－46で折り返すと、第3クオーター（Q）も残り2分台で65－65で並ぶなど、どちらも退かない闘いを繰り広げる。最終の第4Qには大黒柱の高田真希が5ファウルで退場するなど大接戦となり、終盤も79－79で並んだ大接戦を、総力戦で逃げ切った。最後は格上を相手に4点差をつける進化だった。
恩塚亨監督「チーム一丸でつかんだ勝利。うれしいです。プレッシャーあって、相手も強豪で、みんなを信じて戦えた。気持ちをつくれた。カウンターを準備して、相手を削る準備をしました。（全選手が出場し）それが鍵だと思って戦いました。たくさんの方々に応援していただいて、エネルギーをもらいました。パリで恩返しできるように頑張ります！」
吉田亜沙美「すてきな思いをさせてもらえて幸せです（涙）。チームのために、選ばれなかったメンバーのためにパリへ行こうと話をしていました」
馬瓜エブリン「ありがとうございまーす！ 最後、私の役割として、みんなを鼓舞して鼓舞して私も乗る。使命だったので本当に良かったです。しょうじき1回はどうしようかと思ったんですが、シンプルに勝てばいいと分かってから迷わず戦えた」
国際連盟（FIBA）公式サイトが大会前「死の組」と称した激戦区を突破した。初戦で強敵スペインを撃破。しかし王手をかけて臨んだ第2戦で地元ハンガリーに逆転負け。一転して窮地に追い込まれていた。
ハンガリー戦直後、恩塚監督は「もう1度、仕切り直し。下を向かず、自分たちがやってきたことを信じて、チーム一丸となって戦いたい」と訴えていた。
主将の林咲希もカナダ戦に向けて「負けられない戦い。みんなでコミュニケーション取って、絶対に切符を取って帰りたい」と気合を入れ直した。1日のオフを挟んで、しっかりと気持ちを切り替えた。
昨夏のW杯で五輪出場を決めた男子に続き、女子も五輪切符をつかんだ。女子の五輪チケット獲得は3大会連続。21年東京五輪では快進撃を続け、銀メダルを獲得して日本中を興奮させた。パリ五輪では、さらに輝くメダルを目指す。21得点の山本は「ここが始まり。パリで金メダルを取りたい」と高らかに言った。
恩塚監督は、かねてパリ五輪での金メダル獲得を公言してきた。21年9月の就任会見で口にしたのが「ワクワクがあふれるバスケット界に向かっていきたい」という言葉。希望に胸を高鳴らせ、アカツキジャパンがパリへ向かう。
◆パリ五輪バスケットボール競技 5人制は男女各12チームが出場。7月27日から8月11日にかけて実施され、1次リーグはリールのスタッド・ピエール・モーロワ、決勝トーナメントはパリのベルシー・アリーナで行われる。3人制は市内中心部のコンコルド広場で7月30日から8月5日に実施される。
