14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)を2連覇し、プロ転向した羽生結弦さん(29)の初のツアー公演が19日、横浜公演で千秋楽を迎えた。昨年11月の埼玉公演から、1月の佐賀公演をへて、17日から横浜公演を行っていた。

本公演は羽生さんが「大好き」というゲームからインスピレーションを受けた。「繰り返し」をテーマに、大型ビジョン、氷上への映像投影も駆使しながら、人生の葛藤と成長を描いた。

前半最後となった新演目「破滅への使者」の前には、試合さながらの6分間練習を実施。4回転ジャンプも決め、その後の演技でも成功させた。終盤にみせたトリプルアクセル(3回転半)からの4連続ジャンプでは、どよめきの声が上がった。

新演目を含め、「春よ、来い」までの9曲を滑り終えて世界観を完成させると、マイクを握った。「今日も今日とて、魂から滑らせて頂きました」とあいさつして深々とお辞儀。「毎回毎回魂をぶちこんで滑っているつもりです。1粒の砂みたいでも良いので、何かしらの感情が残ってくれれば良いな。一緒に祈ってくれて本当にかけがいのないものになってます」。涙を浮かべながら感謝なども述べ、13分のエンディングトークを終えると、「しんみりしちゃったんであげていきましょう!」とアンコールへ。

選手時代の作品「Let Me Entertain You」で会場を沸騰させると、最後には平昌五輪のフリー「SEIMEI」、「序奏とロンド・カプリチオーソ」を披露し、フィナーレではAdo「私は最強」を口ずさみながら、イナバウアーなどを全力で滑り切った。「ほんとにどこにも自信がなくて、どっこも自分のこと好きでもない、こんなちっぽけな自分に、ありんこみたいな超ちっちゃい自分に、ここまで力をくださって、応援してくださって、いろんなこと感じてくださって、この瞬間、視覚と聴覚を皆さんにくださって本当にありがとうございました!」。最後の最後にそう語ると、マイクを氷の上に置き、地声で「ありがとうございました!」と声を張り上げ、初のツアーを締めくくった。