女子シングルスカルで優勝し、4月のパリ五輪アジア・オセアニア予選(韓国)出場権を得た米川志保(27=トヨタ自動車)が、“会社の先輩”にあたるバスケットボール女子の東京五輪銀メダリストに感謝した。

決勝ではスタートの出遅れを挽回すべく序盤から飛ばしたことで、最後に息切れ。0・4秒差の接戦を辛くも制したが、レース内容に満足できず「しゅんとした気持ちになっていた。自分はダメだとなっていた」と打ち明けた。

そんな米川を救ったのが、この日、行動をともにしていた三好南穂さん(30)だった。22年までバスケットボール女子Wリーグのトヨタ自動車アンテロープスでプレーした名シューター。日本代表でも活躍した元アスリートから、「これが(パリ五輪切符が懸かる4月の)大陸予選じゃなくてよかったね」と声をかけてもらったという。

東京五輪銀メダルメンバーのポジティブな思考に触れ「自分の心をコントロールする力を、これからもっとつけていきたいと思った」と、前向きな気持ちを取り戻した。三好さんの存在が心強いと感じた部分はあったかと問われると、「めちゃくちゃありました」と強調した。

昨年6月からトヨタスポーツ推進部の一員として社業に従事する三好さんは、自社メディア「トヨタイムズ」などに携わっている。この日は米川のレースを動画撮影。「最後は興奮してぶれぶれになっちゃいました」と苦笑いで振り返ったが、臨場感あふれる映像になったようだ。

チームメートとともにコートを駆け回ってきた三好さんは、「1人でスタートラインに立つローイングはある意味、孤独な戦い」と、バスケとの違いを表現。パリ五輪を目指す後輩の奮闘を今後も伝え、温かくサポートしていく。【奥岡幹浩】