【モントリオール=阿部健吾】坂本花織(23=シスメックス)が女子56年ぶりとなる3連覇を達成した。

ショートプログラム(SP)4位から臨んだフリーで、1位の149・67点をマーク。合計222・96点とし、逆転で頂点に立った。3連覇は歴代8人目、日本選手では初の快挙で、通算3度の優勝は浅田真央に並び日本勢最多。ロシア勢不在が指摘される中で、女王として強さを探究し続ける日々を実らせた。千葉百音が7位、吉田陽菜(ともに木下アカデミー)は8位で、来年の出場枠最大3を確保した。

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56年の時がつなぐ数奇な縁だった。3連覇を見届けた中野コーチが「私がスケートを始めたのがフレミングなんです」とつぶやいた。68年大会で3連覇を達成した伝説のスケーター。「とにかく美しかった」という師の理想を人づてに知らされた坂本は「え、そうなんですか! 知らなかった」と目を丸くした。

そのレジェンドに並んだ。本人に自覚があるかは別にして、すでに尊敬される立場にある。銀メダルのレビトが坂本を憧れの存在と明かしたのは、22年スケートアメリカのメダリスト会見。恥ずかしがる15歳をやさしく促し、ツーショットに納まった。この日も表彰式後のウイニングランでレビトの米国国旗がないと知ると、即座にスタンドに駆け寄って運んであげていた。他の選手に対しても、過去に何度も見た光景だ。

強さも人格も。将来、そんな姿もレジェンドとして回顧されるだろう。

【フィギュア】坂本花織逆転Vで3連覇達成、千葉百音7位、吉田陽菜8位/世界選手権女子詳細