パリ五輪出場を目指すバレーボール女子日本代表の古賀紗理那(27=NEC)が6大会連続切符がかかるネーションズリーグ(VNL)へ向け、個々のスキルアップを求めた。5日、都内のナショナルトレーニングセンターで、合宿参加中の代表メンバー22人がそろって会見。主将として、あえて自身のプレーに焦点を当て、チーム力底上げの重要性を示した。会見では、チームスローガン「ONE TEAM ONE DREAM~一つの心でひとつの夢を掴む」も発表され、一丸でパリの舞台に挑む。

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古賀は毅然(きぜん)と言った。「私だけでは限界がある。全員がスキルを高める必要がある」。22年から主将として代表チームをけん引。真鍋監督からは世界トップクラスの「1セット平均5得点」を求められてきた。コート内外で中心的な役割を任されるが、この日は「キャプテンの前に1選手」と強調。「チームというより自分のプレーに集中する」と宣言した。

代表全体へのメッセージでもあった。昨年のW杯バレーで五輪切符を逃し、痛感したのはチーム力の底上げ。そのための矢印を、まずは自身に向けた。「チームのことを考えすぎて、自分の中での頭のバランスが悪かった」。5月からのVNLが、切符をつかむ最後の戦いだからこそ、あえて「1選手として」の言葉を発した。

これまでも1人の選手として、背中でメンバーを引き上げてきた。練習前に必ず行う500回の腹筋。跳躍力を支える筋力を欠かさず鍛える姿を目の当たりにし、後輩たちも見習うようになった。個のレベルアップが、世界の壁を越えるための第1歩。その意識を改めてチーム全体に促した。

「まずは出場権をとることから」。古賀だけでなく、メンバーが同じ目標を口にした。共通認識の元、目の前の勝負に勝ち、切符をつかみ取る。【竹本穂乃加】

○…真鍋政義監督(60)が五輪出場権獲得への強化方針を示した。昨年のW杯バレーでは開幕5連勝からトルコ、ブラジルに連敗してパリ切符を逃し「各セット終盤、20点以降の勝負どころのパフォーマンス」を課題に挙げた。ランキング上位国との技術差にはサーブを指摘。「リードされるとより強くなり、相手を崩すことができる」というブラジルを例に、力強さを求めた。VNLに向け「初戦のトルコ戦からスタートダッシュできるように」と世界ランク1位撃破から勢いをつかむ青写真を描いた。

◆女子バレー パリ五輪への道 出場枠は開催国フランス(世界ランキング15位)を含む12。昨秋に行われた五輪予選W杯バレーでトルコ、米国、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国の6カ国が出場権を獲得。残り5枠はVNL予選ラウンド(R)終了時=6月17日の世界ランキングで決まる。日本は「(1)アジア&オセアニア大陸でトップ」、または「(2)既に出場権を獲得している7カ国と(1)、アフリカ大陸トップ国を除いたランキング上位3カ国」に入ることが必要で、VNL予選Rはポイント獲得に重要な舞台となる。