<レスリング:ロンドン五輪男子フリースタイル60キロ級代表最終選考会>◇7日◇東京・駒沢体育館

 

 双子の力と思いが結実した。ロンドン五輪出場を決めると湯元健一(27=ALSOK)は、先に五輪切符を手にしてアドバイスを送り続けてくれた弟の進一(自衛隊)と抱き合った。悲願だった五輪同時出場を達成して「本当に良かった。『双子で五輪に行ける!』とホッとできた」と、しみじみと喜んだ。

 昨年3位の世界選手権で五輪出場枠を獲得した実績から、勝ち上がってきた前田翔吾(24=至学館大職)に2連敗しなければ、五輪代表を手にできる有利な条件だった。だが、最初の試合で敗れて、後がなくなった。重圧の中、2試合目の決戦前に、進一から「攻めなきゃあかんやろ!」と厳しく叱られて目が覚めた。攻めの姿勢を貫いて、第2ピリオドではタックルを決めた。

 「進一が支えてくれた」と感謝した兄健一。ただ、最後は兄のプライドもチラリ。「あいつは絶対に金を取ってくる。僕はメダルの色1つでも負けたくない」。不敵に笑っていた。