フィギュアスケート女子の前世界女王、安藤美姫(20=トヨタ自動車)が今季全戦で4回転ジャンプに挑むことを表明した。23日、都内で行われたGPシリーズに向けた会見に出席。「4回転(サルコー)を全部(の試合)で入れていく」と断言した。今季はGP初戦のスケートアメリカ(10月23~26日、米エバレット)から出場する。

 世界女王奪回へ、安藤が覚悟を決めた。「ステップもターンも、今年は(昨年までと)違う安藤を見せたい。(フリーで)4回転をスケートアメリカから全部で入れていくつもりで練習している。確実に決めたい」。一般客も見守る会見で、はっきりと宣言した。

 4回転サルコーは2月の4大陸選手権で2年ぶりに挑んで失敗するなど、公式戦では4年9カ月も成功していない。昨季は右肩の古傷など故障にも苦しみ、満足な滑りができなかったが「今は4回転を毎日練習している。昨季より気持ちもスケートに向いているし、調子はいい」と言う。

 今季からのルール改正により、4回転サルコーの基礎点が9・50点から10・30点にアップ。半面、ミスの際の減点も大きくなりリスクも増えたが「初戦から自分らしく臨めばメリットはある」と、完全復活へ向けてルール改正の短所より長所を重要視した形だ。

 この日の会見では今季の目標を「空・心・美」と文字に表した。「空は雨、晴れなどの顔を持つ。人生もうれしい時、悲しい時がある。それをスケートで出したい。あと心が優れるように。美は人としてスケーターとして美しく滑りたい」。ショートプログラム(SP)も昨季までのセクシー色から脱却するという。バンクーバー五輪に向け、反撃態勢を整える。【菅家大輔】