東芝がラグビーのチーム運営から撤退する検討に入ったことが1日、分かった。昨年12月に運営継続を表明したが合理化徹底のため方針を転換した。バスケットボールに続き、運営費負担が大きいラグビーも他社に運営権を譲る方向で調整する。野球も見直し対象となる可能性がある。複数の東芝関係者が明らかにした。

トップリーグで5度の優勝を誇るラグビーの名門が消滅する可能性が浮上した。19年にワールドカップ日本大会を控えるほか、東芝の社長、会長を歴任した岡村正名誉顧問が日本ラグビー協会の会長を務めており撤退時期は20年以降とみられる。

不正会計などで業績不振に陥った東芝は今年4月、元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭氏を会長兼最高経営責任者(CEO)に迎えた。車谷氏は東芝の高コスト経営を問題視しており、スポーツもリストラ対象の例外に認めない方向となった。11月8日に公表する中期経営計画には明記しない。

東芝は昨年12月、アマチュアのラグビーと野球は継続すると説明し、社員の士気高揚を理由に挙げた。しかし、テレビや家電など消費者向け事業を相次いで売却し、ブランドをアピールするスポーツチームを持つ意味合いが薄れている。

岡村氏は共同通信の取材に対し「続けるべきだと思うが、現経営陣が判断することだ」と語った。外国人らを除き多くの選手が社員契約で雇用面の配慮が欠かせず、撤退には曲折も予想される。

東芝のラグビー部には日本代表のリーチ・マイケル主将らが所属する。野球部も都市対抗7度、日本選手権2度の優勝を誇り、元巨人高橋尚成、元日本ハム坪井智哉ら多くのプロ選手を輩出している。プロバスケットボール男子Bリーグの川崎の運営権は7月にディー・エヌ・エー(DeNA)に譲った。スポーツ以外では1969年の放送開始から務めてきた国民的アニメ「サザエさん」の番組スポンサーも3月に降板した。

◆東芝ラグビー部 1948年創設。愛称は「ブレイブルーパス(勇猛な狼の意味)」。クラブカラーは赤。日本選手権6度、トップリーグは5度優勝。練習場は東京都府中市の東芝府中事業所敷地内グラウンド。OBには日本代表の薫田真広強化委員長ら。現在はリーチのほか、3日にニュージーランドとのテストマッチに臨む日本代表の登録メンバー入りしている三上正貴、代表歴代最多98キャップの大野均らが所属。