第98回全国高校ラグビー大会(大阪・花園ラグビー場)が今日27日に開幕、51校の頂点を目指す戦いが幕を開ける。7大会連続24度目出場の茗渓学園(茨城)と、4大会連続37度目の常翔学園(大阪第3)は、昭和最後の第68回大会で天皇崩御により、1989年(昭64)1月7日の決勝戦(常翔学園は当時、大工大高)が行われず、同時優勝となった。今大会もその両校が出場する。再戦はあるのか。昭和最後の戦いを制した両校が平成最後の大会も優勝を狙う。

茗渓学園は強いFWに頼るのではなく、BKにパスを回し、積極的に展開してトライを奪うラグビーを昭和時代から継承する。相手が根負けして、守備網が崩壊するまで振り回すのが特徴だ。

普段の練習は午後4時から。昨年から照明が設置されたが、十分な明るさではない。暗くなればケガのリスクもある。それでも最終バスの午後6時ギリギリまでグラウンド内を走り回る。高橋健監督(54)は「一昨年までは45分ほどしかボールを使った練習ができず、あとは走るだけだった。ただおかげで、BK陣は日本トップクラスになった」と話す。

7人が昨年の全国大会を経験した。日本航空石川に7-66で敗れ、外国人選手のタックルの強さに衝撃を受けた。走るだけではダメだと感じ、ウエートトレーニングにも意識を置き、スリムでも力負けしない体を作り上げた。NO8佐藤剛主将(3年)は「ディフェンスに力を入れてきたので圧倒的な差で負けることはなくなった」と手応えを感じている。

大会後はほとんどの部員が大学受験をするほどの中高一貫の進学校だが、授業にラグビーが組み込まれており、中1から茗渓のラグビーを身に付けられるのも強みだ。授業で楽しさを知って入部する生徒もいるという。

昭和最後の大会で優勝した。平成最後にも期待がかかるが、高橋監督は「選手はみんな、知らない時代。初出場のつもりでやってますよ」と自然体を貫く。当時の主将で現青学大ラグビー部監督の大友孝芳氏(48)は「茗渓のランニングラグビーを全力で楽しんでほしい。自分も応援に行きます」とエールを送った。

走り回ってつないでラグビーを楽しむ-。昭和の時代に先輩たちが作り上げた茗渓魂を引き継ぐ後輩たちが、30年の時を経て最後の平成でもう1度日本一を狙いにいく。【松熊洋介】

◆第68回大会の茗渓学園VTR 4大会連続4回目の出場となった茗渓学園は、2回戦で大分舞鶴を30-7、3回戦で新田(愛媛)を24-18、準々決勝では天理(奈良)に11-9、準決勝は淀川工(大阪第2)に32-7で勝利し、初の決勝に進んだ。決勝当日の朝、昭和天皇崩御により中止が決定、大工大高(大阪第1)と同時優勝となり、閉会式のみが花園で行われた。26年後の15年4月26日に当時のメンバーが花園に集まって試合を行い、64-19で大工大高OBが勝利した。