全国高校ラグビー大会で3日の準々決勝に臨むBシードの天理(奈良)が2日、大阪市内で最終調整を行った。午前中に1時間半、パス連係やスクラム練習など入念に確認を行った。

準々決勝の相手、Aシードの桐蔭学園(神奈川)は昨春の選抜大会王者。NO8照井悠一郎主将(3年)は「自分たちは1人で突破する能力があるチームではないが、運動量には自信がある。全員でつないでトライを決めたい」と意気込んだ。桐蔭学園とは3大会前の第95回大会準々決勝でも対戦したが12-31で敗れた。この試合を当時、中学3年の照井は花園のスタンドから観戦。「天理への進学が決まって応援していたが(桐蔭学園は)強かったというイメージが残っている」と因縁の相手を警戒した。

この日は全国大学選手権準決勝も行われ、天理大が帝京大と対戦した。天理大フッカー島根一磨主将(4年)は、昨年5月下旬からの3週間、母校天理で教育実習を行い、ラグビー部にもつきっきりで練習指導を行った。高校時代の島根主将を指導した松隈孝照監督(46)は「あいつの情熱はすごい。普通はしんどいとやらなくなるが、島根は3年間ずっと一生懸命やっていた。あんな子は珍しい。生徒にも刺激になったのでは」と、OBの指導が発奮材料にしている。

昨年12月の練習中に左足を骨折し、大会出場が絶望ながらもチームのサポートに徹する高校日本代表候補のFB津野来真(3年)も「島根さんの情熱はすごかった。高校生のためにこんなに体張ってくれるんだと驚いた」と刺激をもらった。「『今日1日の練習をひたむきに全力でやる』という言葉が心に残っています」。

天理大は大学選手権9連覇中だった絶対王者の帝京大から歴史的1勝を挙げて決勝に進んだ。そして島根主将は試合後「(大学と高校で)アベック優勝したい」と後輩たちにエールを送ってくれた。先輩に注入された熱き思いと声援を武器に、弟分の天理も7度目の全国制覇を目指して突き進む。