ラグビーW杯日本大会(20日開幕)に出場する日本代表プロップ稲垣啓太(29=パナソニック)が8日、母校・新潟工のグラウンド開きに出席した。県内の県立高で唯一となる天然芝グラウンドで、300万円を寄付した稲垣も完成に寄与。高校からラグビーを始めた日本代表PRが「原点」と定める母校のグラウンドが真新しくなり、2大会連続のW杯へ闘志を新たにかき立てていた。

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天然芝が敷き詰められた緑一色のグラウンドを見た稲垣は、持ち前の無表情を決め込みながらも感動を込めて言った。「自分の原点が、さらに特別な場所になった。将来は大会が開かれるような、県ラグビー界の希望の場所になってほしい」。縦110メートル、横70メートルの天然芝グラウンドは、部員不足に危機感を抱いた恩師・樋口猛監督(47)の発案で造られた。

新潟工は「花園」に15年連続で出場している名門校だが、今春の新入部員は7人。稲垣の代は約30人だっただけに、樋口監督は「ラグビー部の存続さえ危うい」と学校のラグビーグラウンドの天然芝化を計画。資金面の援助を稲垣に仰ぎ、具体化した。「いつか恩返ししたいと思っていた。だから、話をもらったことに感謝したい」と300万円を寄付。芝刈り機の購入費などにも充てた。OB、保護者、部員が植え付けた芝は4万5000株だ。

稲垣は忙しい日程を縫って、自分の関わった天然芝のグラウンド開きに参加した。前日7日は東京・秩父宮での壮行イベントに出席。6日にはリポビタンDチャレンジ杯で南アフリカと試合(7-41)。そんなタイトな日程ながら、疲労どころか地元でパワーを注入された。「(W杯は)日本開催でプレッシャーがかかるけれど、県民のみなさんの声に後押しされてプレッシャーを力に変えたい」。南ア戦の完敗も「悔しさを開幕戦で爆発させる」と言う。W杯でブールAの日本は20日の初戦でロシアと戦う。樋口監督は「運動量のあるフロントロー。トップレベルの力を世界に示してほしい」と教え子に期待した。【涌井幹雄】