<世界バレー2010女子:日本3-1セルビア>◇1次リーグA組◇3日◇代々木第1体育館

 人妻ブロッカーを支えたのは、夫の愛のマッサージだった。世界ランキング5位の日本は3-1で、同9位のセルビアとの全勝対決を制した。第2セットのジュースを制する2連続サービスエースを決めるなど大活躍の井上香織(28=デンソー)は、開幕戦後にリラクセーション店を経営する夫にマッサージを受けて好調を維持している。日本は5戦全勝で1次リーグA組首位、6日の2次リーグ初戦で世界ランク3位の中国と対戦する。

 第1セットに続き、ジュースにもつれた第2セット。27-27の場面で、井上がジャンピングフローターサーブを連続して決めて、勝負を決めた。長身のセルビア選手が、前に落ちるボールにミスを連発。「試合前からセルビアは背が高いので、伸びるような強いボールに強いと聞いていた。だから、少し力を抜いて打った」とほほ笑んだ。

 “本職”のミドルブロッカーとしても本領を発揮した。チーム最多の5本を決めて、勝利に貢献した。セルビアの平均身長は、日本よりも11センチも高い186センチ。「相手は高さがあるので、手の出し方を上に目いっぱいじゃなく、前気味に出してはじき飛ばされないようにしました」。

 美人選手として人気の井上だが、08年9月に元スキー選手の岡本哲義氏と結婚している。岡本氏は引退後、スポーツトレーナーを経て、ボディーケアの店を愛知県で経営している。

 フルセットの末に逆転勝ちの初戦ポーランド戦後、応援に来た夫にマッサージを受けた。「おかげで、快調です。応援に来られなくても、試合後にメールで『頑張ったね』とかメッセージを送ってくれています」と恥じらった。

 荒木田裕子強化委員長も、人妻の井上とママさん選手の山本愛の活躍を「家庭があるのにバレーに頑張っている姿が、チームにいい影響を与えている。結婚してもプレーをしているのが、お年ごろの選手たちに、いい意味でやりがいを与えている」と評価する。

 日本が落とした第3セット以外の、3つのセットはすべてジュースにもつれ込む大接戦。総得点は、勝った日本の102得点、負けたセルビアが103得点。真鍋監督は「全勝になったことで勢いに乗って、中国と対戦できる」と言った。32年ぶりのメダル獲得へ、弾みをつける勝利だ。【小谷野俊哉】