早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)が「ストップ野村」に燃える。16日の明大-早大1回戦は、早大・斎藤対明大・野村の「佑」「祐」初対決が濃厚だ。斎藤は15日、東京・東伏見の早大グラウンドで、約3時間の最終調整を行った。東京6大学リーグを代表する両投手が、先発で投げ合えば初となる。

 元祖王子は、6大学の主役を譲るつもりはない。斎藤は野村の話題になると、いつも通り淡々と話し始めた。「いいピッチャーだと思います。(9連勝中に)見習う部分が多いけど、負けないようにしたい」と表情は変えない。先輩らしく相手を立てながら、静かに闘志をかき立てた。

 初対面は昨年6月の大学日本代表選考合宿だった。すでに「日本のエース」だった斎藤と、1年生で初めて代表合宿に参加(その後落選)した野村。「(早大)大石(達也=3年)の方が仲はいいと思いますよ」とサラリ。「1つ1つのボールが強くなった。基本的に自分と似たタイプ。真っすぐとスライダー」と力を認めている。

 先発での投げ合いが実現すれば、初となる。斎藤の最多連勝は6(引き分け挟む)で、今季は勝ち星、防御率ともリードを許す。発奮材料はそろう。

 この日はブルペンで48球を投げた。前週は試合がなく、走り込みで体の切れを出した。13日にも50球ほど投げ、「肩が軽い。調子はいいです」と好調だ。今週法大が慶大に連勝した場合、早大は1敗すれば2季連続優勝が絶望となる。応武篤良監督(51)は「もう1敗もできない状況。慶応も頑張るでしょうし、我々も負けられない。そのためにも斎藤に頑張ってもらいたい」と信頼する。

 斎藤は、負けられない状況で大事なことは「気持ち」と言う。東都リーグでは4試合連続完投中の亜大・東浜巨(なお)投手(1年=沖縄尚学)が話題を集める。「東都はずっと強いと思ってきたけど、またいいピッチャーが出てきた。6大学も負けられない」。これもライバル対決へのモチベーションとする。【前田祐輔】