<都市対抗野球>◇30日◇準々決勝4試合◇東京ドーム

 ヤマハ(浜松市)が日産自動車(横須賀市)に0-5で完封負けし、10年ぶりの4強進出を逃した。3回に先制されると、4回にスクイズ、8回にも2ランを許して失点を重ねた。攻撃では相手より3本も多い10安打を放ち、6度も得点圏に走者を進めながら、課題の「あと1本」が出ずに完敗。今後は日本選手権(11月12日開幕、京セラドーム)に目標を切り替える。

 打てども打てども、ヤマハのホームは遠かった。3、5回以外は毎回出塁し、6度も得点圏に走者を進めたが、肝心の1本が出ない。高柳信英監督(56)は「ひと言で言えば、今日は流れが全然来なかった」と、言葉少なに話した。

 4回無死からマガリャエス(28)佐藤二朗(28)の3、4番コンビが連続安打で出塁。しかし、続く高橋孝典(27)のバントは捕手前に転がり、三塁で封殺。後続も続けなかった。3安打を放ちながら、唯一のミスに高橋は「一番重要な場面だった。きっちり送って1、2点取れていたら…。日産は細かい野球ができていた」と悔やんだ。

 ツキもなかった。3点を追う8回2死一、二塁。代打藤田亮平(28)が放った大飛球が左翼ポール際に飛んだ。だが、判定はファウル。初戦の富士重工戦では相手の同様な飛球がファウルで救われた。藤田は「手応えはあったんですが。初戦のお返しじゃないでしょうけど…」と幻の同点弾に唇をかんだ。

 今年限りで休部が決まっている相手の執念に押され、10年ぶりの4強を逃した。それでも、都市対抗2勝は3年ぶり。2年目で初出場した小粥勇輝(23)は「強くなれたと思う。日本選手権予選に生かしたい」。この悔しさを次の舞台につなげていく。【今村健人】